映画:黒い箱のアリス

「黒い箱のアリス」のネタバレあらすじと結末

黒い箱のアリスの紹介:深い森に佇む瀟洒な邸宅に住む、片腕を失った少女アリスと愛犬”ママ”の前に出現した黒い立方体”キューブ”。深々とした静寂の中で起こる奇妙な事件を描いた2018年公開のスペインのSFミステリー。監督/脚本は本作が長編デビューとなるサドラック・ゴンザレス=ペレジョン。プチョン国際ファンタスティック映画祭審査員賞受賞作品。

あらすじ動画

黒い箱のアリスの主な出演者

アリス(ロウェナ・マクドネル)、その父アダム(ジュリアン・ニコルソン)、エリカ(アイデ・リサンデル)、ポール(マルク・プッジェネル)、デヴィッド(ウィル・ハドソン)、ドクター(ダニエル・M・ジェイコブズ)、声の出演/愛犬”ママ”(ベアトリス/ルーシー・ティレット)

黒い箱のアリスのネタバレあらすじ

【起】- 黒い箱のアリスのあらすじ1

深夜、深い森に佇むハイセンスな邸宅に、目出し帽の男が侵入します。
男は難なく電子キーを解除して屋内に侵入、気づかず夜食の準備をしていた主人らしき男性をバットで襲い、撲殺します。

その邸宅は、中心に大きなプールがあり、屋上には森から地続きで草が埋けてあります。電子キー付きの玄関の前は木立に囲まれた拓けた空間で、同じく電子キー付きのダイニングの出入口は森へと続いています。
プールの1辺には総ガラス張りの客間があり、両サイドは長い1本の廊下で繋がった居室やキッチンなどの生活空間があります。
居室などは、開閉壁で仕切られていて扉はほとんどありません。それは壁に遮られた奥のバスルームも同様です。

右手のひじから先を失った少女アリスは、その見晴らしのいい客間で、ドクターから義手を渡されますが、装着する段になって「見られたくない」と言い父親に席を外させます。
ドクターは、テーブルに太さの違う円柱形の積み木を並べて試させますが、一番太い積み木すら持ち上げられませんでした。
その義手は、彼女の思考を読み取って作動する最新式の物で、シャワーと寝る時には外すよう言われます。
父親は彼女のメンタル面でのケアを、一番に心配しているようです。

父親に感想を聞かれたアリスは、「”ママ”を出していい?」とはぐらかし、愛犬の元へ。
”ママ”は白い大型犬で、首に下げた翻訳機を通じて人間と普通の会話ができます。アリスは”ママ”に注意深く義手を嗅がせ、「あなたらしくないわ」と言われて唾を付け、自分の臭いにします。

【第1章 キューブ】
父親と義手の訓練をしていたアリスは、一番太い積み木は掴めるようになりますが、2番目の積み木で失敗して癇癪を起こし「”ママ”と散歩に行く!」と言いますが、「あれはママじゃない」と言う父親に「パパなんか大嫌い!」と怒鳴って出ていきます。

アリスと”ママ”が森を歩いていると、あたかも以前からそこにあったかのような1辺2mほどの黒い立方体(キューブ)が道を塞いでいました。
アリスは恐る恐る義手で触りますが反応は無く、左手で触れると一部がパズルのように動いて小さな穴が開き、彼女が中にあったメモを取り出すと再び動いて滑らかな表面に戻ってしまいます。
そのメモには明らかに彼女自身の筆跡で、”彼らを信用しないで”と書いてありました。

父親はその頃森にいて、間もなく意識を失った女性と少年を連れて戻ります。女性は浴槽に浸けた途端凄まじい呻き声を上げて目覚めます。
アリスは、義手を隠して様子をうかがい、少年と目が合うと隠れます。

【第2章 見知らぬ姉弟】
その小柄で華奢な女性はエリカと名乗り、少年は彼女の弟ポールで話せないそうです。アリスは父親をアダム、愛犬を”母親のベアトリス”と紹介します。
彼女はひどく殴られていて「彼氏のデイヴィッドにやられた」と証言します。彼らは町に住んでいるが親は亡く、デヴィッドは家も知らない男だそうです。
エリカは「ピクニックに誘われたので、弟も連れて行きたいと言ったが拒まれた」「けれど弟はついて来てしまい、弟の前で関係を求められ、叩いたら逆ギレして殴られた」と話します。
父親は「我が家は防犯完備で2重ロックだから、今夜はうちに泊まりなさい。明日君らの家まで送る」と話し、アリスに同意を求めます。

その夜、バスルームにいた姉弟は「大丈夫、きっとうまく行くわ」と話し、様子を見に来た”ママ”に「アリスの片腕はどうしたの?」と聞きます。”ママ”は見当違いの答えでごまかし、外で待っていたアリスに「あの2人は危険な臭いがする」と話します。
また、アリスと”ママ”は玄関前の木立をうろつく人影に気づき、父親を呼んで警戒しますが、彼や起き出してきた姉弟には見えず、何も起こりませんでした。

翌日、アリスは義手を装着する父親に、「エリカが好きならもう1泊泊めれば?」と勧め、ポールと一緒に積み木の練習をし、2番目に太い緑の積み木を立てる事に成功し、ポールと抱き合います。
けれどその間、父親が自室でエリカと見つめ合い、頬に触れていた事に気づいて激怒します。
「”ママ”の前でよくもそんな事が出来るわ!」「パパのせいでママはあんな(犬の)姿になり、私の腕もこうなった!」「”ママ”に謝りなさいよ!この人殺し!」…アリスは義手を父親の鼻先に突きつけ罵りますが、彼はただ「すまない」と言い、「ママは死んだんだ、あれ(犬)はママじゃない」と繰り返し、ついには「”ママ”には謝らないし、声を掛ける気も無い!」と怒鳴って出ていきます。
アリスは”ママ”を連れ、ダイニングの出入口から森へと出ていきます。
ポールは、扉の電子キーを開ける彼女をじっと見つめていました。

【承】- 黒い箱のアリスのあらすじ2

【第3章 聞こえてくる声】
アリスは森で再びキューブと対峙し、”黒い時計で4時になったら話す ヘッドホンで聞いて”というメモとマイクロSDを受け取ります。
自室に戻ったアリスは、SDをプレーヤーにセットし時を待ちますが、”ママ”は「今のあなたはキューブを使えない。ワナかもしれない」と不安がります。
アリスは「間違いなく自分の声だし、事件が起こる前だから」「キューブの使い方や彼らの正体を聞く」そして「全部元通りになる」と言い「私が好き?」と聞きます。”ママ”は「世界中の誰より愛してる」と答えます。

黒いデジタル時計が4時を示した瞬間、アリスはスイッチを入れ、会話が始まります。
アリスとそっくりなその声は、まず彼女が従うかを試し、「エリカとポールには聞こえてるかもしれないが、なるべく自然に振る舞え」「”ママ”を残してバスルームに行き、父親に『デヴィッドがいたから外を見て来て』と頼め」「いつも通報して失敗するから、警察を呼ばせないで」と指示し、「急いで。彼らに気づかれたら手遅れよ」と急かします。
アリスは「キューブや彼らの正体の説明が先だ」と食い下がりますが、結局答えは得られないまま従うことに。

父親は書斎で打ちひしがれていましたが、「外に誰かいる」と聞いた途端通報しようとします。アリスは「エリカが絶対にダメだって。(警察が介入すると)ポールが傷つくから。パパが追い払って」と言い、父親を見送ります。
その間、ヘッドホンからは「キッチンでポールを捜して」と指示があります。

ポールはキッチンの近くにいて、アリスの後をついて歩きます。
アリスは「サンドイッチを作るからテーブルで待ってて」と彼を引き離しますが、指示は「間もなくエリカがやって来るから、その前にポールを包丁で殺せ」という怖ろしいモノでした。
”声”は「何度も同じ失敗を繰り返したが、殺すのは今回が初めて」「怖い気持ちは分かるし、ポールが好きでも殺さなきゃダメ」「やってきたエリカも殺せ」と説得し、アリスはやむなく包丁を握ります。
しかしポールは、キッチンに入って来るなり、おずおずとアリスにキスします。
彼女が包丁を置くのと同時にエリカがやってきて、ポールを抱きしめ、父親の居場所を聞きます。
アリスは曖昧に答えながらサンドイッチを作り終え、出ていきます。

その夜、アリスが眠りにつくと同時にエリカが起き出し、ポールに「やるべき事は分ってるわね?」と言いつけます。ポールはダイニングのドアの前で誰かを待ちますが、”ママ”が現れて逃げ帰り、「犬がいるからできない」と手話でエリカに訴えます。
エリカは居間にいた”ママ”の首輪を掴んで、無理やりどこかに連れていき、その後、全裸になって父親の寝室を訪ねます。
その頃、ダイニングの扉の前には目出し帽の男がやってきて、ポールの手引きで室内に侵入します。
驚いて起き出した父親は、全裸で歩き出したエリカを追い、居間に潜んでいた男に首を掻き切られ死亡します。
その後エリカは服を着てポールと男と共に家から出ていきます。

間もなく目を覚ましたアリスは、居間で死亡している父親を見つけて泣き、”ママ”を捜します。”ママ”は小部屋の中で殺害されていました。
「ママ!ママ!ママ!!!…」アリスの泣き叫ぶ声を聞く者は、誰もいませんでした。

【転】- 黒い箱のアリスのあらすじ3

【第4章 長い旅】
明け方。目覚めたアリスは森に行き、キューブを叩いて「開けて!」とわめきますが、キューブはビクともせず、彼女が「大嫌い!」と叫んだ途端、一面全体が稼働し、彼女が入れるだけの大きなくぼみが現れます。
アリスはその中に屈んで入り、キューブが閉じるのと同時に悲鳴が聞こえます。

アリスは森の道で、エリカが自らデイヴィッドに暴行を受けるのを目撃、ポールはそのそばで耳を塞いで堪えていました。
そして姉弟がやってきたその夜、人影を見つけて、父親と共に暗い木立に目を凝らす自分を庭から見ていました。

翌日、アリスはその時間軸でキューブのメッセージを聞いていたアリスと覆面をして会い、「ママとはもうすぐ会える」と通話機を通して話をして入れ替わります。そして同じく打ちひしがれていた父親に「外にデヴィッドがいる。警察に通報せず、外を見て来て、追い払って」と頼み、強く抱きしめて送り出します。

アリスはポールを呼んでダイニングに座らせ、サンドイッチの準備を始めますが、「パンの袋を開けて」とキッチンに呼び、キスしようとした彼の首を刺し殺害します。
しかし、直後にやってきたエリカは、ポールの遺体に気づいた途端笑い出し、包丁を取り上げてアリスの腹を刺し、逃げて行きます。
アリスはよろよろと居間まで歩き、ガラス窓に寄りかかって動けなくなり、しばらく泣いた後、宙を見つめ息絶えます。

ほどなくして戻った父親は、まずキッチンでポールの亡骸を見つけ、居間で絶命しているアリスを見つけて愕然とし「なぜこんなことに!なぜなんだ!」と慟哭します。
そこにその時間軸のアリスが現れ、何度もパパ!と怒鳴って正気に戻します。

そのアリスは、彼にキューブのメッセージを聞かせ、父親はようやく彼女の話を信じ、「一言も聞き逃さず、何でもやる」と約束します。
アリスは「森でキューブを見た、よく分らないけど一種のタイムマシンだと思う」と話します。そして「僕もそう思うが、動力や仕組み、その説明の映像や音声は無いのか」という父親に、「私の義手と同じく、強く思う事で動く」と話します。

【結】- 黒い箱のアリスのあらすじ4

【第5章 3本のシリンダー】
アリスは父親をキューブの場所に連れて行き、キューブは彼らに反応し形を変えます。父親はバットを、アリスはバックを持ってキューブに近づいて行きます。

場面は冒頭の、目出し帽の男に父親が襲われる場面に戻ります。男は父親を殺害してキッチンに運び、間もなくアリスと”ママ”も出てきます。
男は怯えて抱き合うエリカとポールの前で覆面を取りますが、それは父親自身でした。

ほどなくして居間にデイヴィッドが現れ、バットを持って待ち構えていた父親にエリカとポールが無事だと聞き、礼を言います。
彼はおずおずと父親の前に座り「俺の両親はお前に殺された、父親の名はデイヴィッド、母親はマーガレット、祖母も祖父も同じ名前だ」と話し始めます。
彼は、2人の好きだった物を上げ、「しかしもう、ハグしようとしてもできない、スマホの写真を見るだけだ」と嘆きます。彼の両親は、父親が起こした交通事故で死亡したようです。
その時、彼の背後からアリスが忍び寄り、デイヴィッドの頭頂部をアイスピックで突き刺します。
アリスは、呻き声すらあげられないデイヴィッドの隣に座り、姉弟の時と同じく「父の名はアダム、母の名はベアトリス、好きな物は…」と話し始め、どちらの親も共通で好きだったトム・ハンクスの名を上げる頃、デイヴィッドは静かに息絶えます。
アリスは、頭を抱える父親に「あの日に戻って事故を防ごう」と言い、「寝室にいる姉妹を放っておけない」と話します。

朝未だ来、アリスは居間で積み木を並べながら父親と話しています。
「集中しろ、1日か…1週間か…分ってるはずだ」と父親。アリスはきっぱりと「7カ月と12日必要よ」と言い、「そこに着いたら車のキーを持ち出せ」という父の言葉を目を閉じて噛みしめ、「そこに着いたらキーを投げ捨てる」と言い、積み木を完成させます。
アリスは森の中のキューブへと走り、身を屈めて中に入ります。
キューブは静かに彼女を呑み込み、森には小鳥のさえずりだけが聞こえていました。

みんなの感想

ライターの感想

いわゆるタイムトラベルものなんですが、なにより父娘が暮らす森の邸宅のハイセンスな佇まいが素晴らしく、内部の複雑かつ機能的でアーティスティックな構造と相まって、物語に深みを与えています。
全ての発端は父親の交通事故で、アリスは片腕と母親を失い、デヴィットは両親を失った。エリカはそのエピソードから”女性”と書きましたが、見た目にはアリスとさほど年も変わらない大人びた少女のように見えますし、そのためデヴィッドと姉弟との関係にも少々疑問が残ります。
危ういシーンはほとんど、プールから見たガラス越しの遠景ショットになり、台詞も動作も少なく緩慢です。しかしその圧倒的な静寂は本作の要ともいえる空気感を醸し、静かな森の中で起こる事件を浮き彫りにしていきます。
キューブや”話す犬”などの説明がない分、自由度は高く、深々とした空気感を存分に楽しめる作品だと思います。

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