「ソロモンの偽証(前篇・事件)1」のネタバレあらすじと結末の感想

ソロモンの偽証 前篇・事件の紹介:2015年公開の日本映画。学校内で転落死した同級生の死の謎を巡り、中学生たちが生徒のみの校内裁判で隠された真実を暴こうとする姿を描く。宮部みゆきの同名小説を、2部作として映画化したサスペンス・ミステリー。

予告動画

ソロモンの偽証(前篇・事件)1の主な出演者

藤野涼子(藤野涼子)、神原和彦(板垣瑞生)、三宅樹里(石井杏奈)、大出俊次(清水尋也)、浅井松子(富田望生)、野田健一(前田航基)、柏木卓也(望月歩)、森内恵美子(黒木華)、藤野邦子(夏川結衣)、藤野剛(佐々木蔵之介)、津崎正男(小日向文世)、中原涼子(尾野真千子)

ソロモンの偽証(前篇・事件)1のネタバレあらすじ

【起】- ソロモンの偽証(前篇・事件)1のあらすじ1

東京都、江東区城東第三中学校。
女性教師の中原(旧姓・藤野)涼子は、母校の中学校に赴任が決まります。
正門を見た後に通用門へ回った涼子は、狭い門を抜けて桜の木の下を通り、屋上を見上げました。
赴任の挨拶で校長室に通された涼子は、女性校長の上野素子に「あの伝説を語り継ぐのが、代々の校長の務めなのだ」と聞かされます。
そして涼子は促されるままに、23年前の伝説の「校内裁判」の話を始めました…。
「あの頃は、バブルがはじけようとしていた時期で、大人たちはどこか浮ついていました…」
…1990年12月25日。
前の夜から降り始めた雪によって、その日の東京は積雪が観測されました。観測史上6番目の積雪を記録します。
中学2年の藤野涼子と同級生の野田健一は、うさぎ小屋の掃除をするために早めに登校しました。正門に苦手な先生が立っていたので、涼子たちは通用門を乗り越えて学校に入ります。
そこで涼子は、雪の中に人間の手首が出ているのを見つけました。野田と涼子が一心に雪を掘ると、そこに同級生・柏木卓也の死体が出てきます。死体の目は見開いたままでした。
「誰かに知らせなきゃ」と、涼子と野田は急いで知らせに走ります。
柏木卓也の死因は転落死で、当初は自殺と目されました。11月14日以来、柏木は不登校を続けてはいたものの、いじめの事実はなく、遺書はないものの警察は自殺と断定します。
冬休みに入って3日目に葬儀がしめやかに執り行われ、一見、事件は解決したかのように思われました。
しかし…年明けの冬休み最後の日、涼子の家に赤い文字で宛先が書かれた速達状が届きます。中の封筒には、定規を使って書いたと思われる字が並んでいました。
『告発状
城東第三中学校二年A組の柏木卓也君は、自殺したのではありません。
本当は殺されたのです。
クリスマスイブのあの夜、ボクは現場を目撃してしまいました。
助けを求める柏木君を、屋上の金網の向こうに押し上げ、突き落としたのです。
二年D組の大出俊次です。
橋田祐太郎と井口充も手伝いました。
三人は笑いながら柏木君を殺したんです。
お願いします、もう一度事件を調べて下さい。
このままでは柏木君があまりにも可哀想です。
お願いします。警察に知らせて下さい。』
涼子の父・藤野剛は警視庁の捜査一課に勤める刑事でした。それを知っている者が、涼子宅に送りつけたものと思われます。
父・剛と相談した涼子は、当時の校長・津崎に知らせました。同じ内容の書状が、津崎校長の元にも届いていました。

【承】- ソロモンの偽証(前篇・事件)1のあらすじ2

津崎校長は担当の刑事・佐々木礼子と相談します。涼子宅へ送られたことを鑑みてA組の生徒だと目星をつけた佐々木は、「手紙の差出人は何らかの対応を待っているだろうから、カウンセリングをする」と決めました。
クラスの生徒を1人ずつ呼び出して、事情を聴取します。告発状の送り主は、涼子の同級生・三宅樹理と浅井松子と突き止めました。
それは事実でした。正月明けに2人はバスに乗って三越前に行き、そこでポストに郵便物を投函していました。樹理が発案&実行役で、松子は付き添いです。
樹理は顔にできたニキビを気にする内向的な女子生徒で、松子は肥満ではあるものの、あまり気に留めていないほがらかな女子生徒でした。
ある時、大出たちに難癖をつけられて、樹理と松子は殴る蹴る、踏まれるなどの暴行を受けました。これが、樹理が告発状を出した動機です。
その現場を涼子は学校の屋上で目撃しました。目撃しながら黙殺した涼子を見ていた柏木が、涼子に「自分もいじめられるのが怖いんだろう」「卑怯だよ」「口先だけの偽善者」と言い、涼子はずっと「口先だけの偽善者」という言葉が心に重く沈んでいました。
事態が急展開したのは、それ以降です。
告発状は涼子と校長ともう1人、担任の若い女性教師・森内宅にも届けられていたのです。しかし森内先生は告発状の存在を知りませんでした。
破られてゴミ箱に捨てられていたという手紙がHBS局の「ニュースアドベンチャー」という報道番組宛てに届き、ジャーナリストの茂木が動き始めました。
茂木は生徒たちに取材を重ねます。普段から不良っぽい大出の素行に問題があり、暴力沙汰になった時には金で事件を揉み消している過去が露呈されました。
茂木はテレビカメラマンを連れて大出宅も突撃取材し、大出の父と揉み合いの喧嘩になります。
これら一部始終が報道されました。柏木の自殺が事件であるかのように脚色され、告発状が握りつぶされたことも、そこでは触れられます。
担任の森内先生は辞表を提出するとともに、刑事の佐々木に「手紙は盗まれたのではないかと思う」と訴えました。(森内先生の住む住所と)所轄が異なるために動けない佐々木刑事は、「調査会社に依頼すればいい」というアドバイスをします。
報道番組が問題になり、保護者を対象とした緊急説明会が学校で開かれます。告発状の存在を認めた佐々木刑事は、目撃した人物がいた場所について言及し「話の通る状況ではない」とみなしたと説明しました。
論理的な説明に、保護者は納得して帰ります。

【転】- ソロモンの偽証(前篇・事件)1のあらすじ3

その夜、雨の降る中を樹理宅に行った松子が、帰宅途中で白いバンと接触して意識不明の重傷を負います。松子はその後、亡くなりました。
涼子も衝撃を受けましたが、親友であった松子は、樹理の死のショックで声が出なくなります(失声症)。また津崎校長も心労が重なり、辞職します。
1991年の夏、柏木卓也と浅井松子の2人の死を抱えて、涼子自身も死を考えていました。柏木に「そういう口先だけの偽善者。お前みたいなのが悪質なんだよ」と言われた言葉が何度も頭をよぎり、涼子は鉄道自殺も考えます。
しかし思いとどまった涼子は「生きているのだから、戦おう」と決意しました。
クラスメイトは中学3年に進級して、何となく事件が風化していっていました。しかし当事者である中学生の涼子たちの心には、まだしこりが残っています。
「大人たちに任せておけない」と考えた涼子は、自分たちで調べようと決めました。
6月半ば、野田から電話があり、涼子は東都大学付属中学の生徒・神原和彦と出会います。
神原は柏木と小学時代の同級生で、中学になってからも連絡を取り合っていたと言いました。そして、神原も柏木の死に納得がいっていませんでした。
涼子は事件について「学校で裁判をする」と決めます。母には内申書などのことを挙げて反対されますが、涼子は「自分たちで真実を見つけたい」と宣言しました。
涼子の後押しをしたのは、北尾先生です。北尾先生は辞職した担任の森口先生と同じバスケ部の顧問で、当初から森内先生を援護する立場にありました。
涼子の提案した裁判に賛成した北尾先生は、バックアップを申し出ます。
涼子と野田、そして神原の3人は図書館で裁判について勉強し、陪審員裁判にすると決めました。
卒業文集のテーマを決めるために中学三年生が体育館へ集まった日、涼子は皆に切り出しました。
「何もなかったことにするのか」と訴える涼子に対し、皆、少なからず心を動かされます。
しかし女性教諭・高木学年主任の反対に遭い、その場で高木先生と涼子は口論になりました。
これ以上事を荒立てたくない高木先生は、涼子を鎮めようとします。

【結】- ソロモンの偽証(前篇・事件)1のあらすじ4

それに対し「綺麗事はもうたくさん。私たちは宙ぶらりん。大事なことは何も知らされていない」と涼子は訴え、さらに、自分自身に茂木キャスターが取材に現れたことも高木先生に告げます。
キャスターの取材があったと聞くや否や、高木先生は血相を変えて「何か喋ったの?」と詰め寄りました。「私が何か喋ったら、不都合なんですか」と涼子は答え(実際は何も喋っていない)、高木先生にビンタされます。
涼子の母・邦子が呼び出されました。保健室には優秀な同級生の男子生徒・井上も、涼子に付き添います。
井上が「先生の行為は指導ではなく暴力だ」と言い、高木先生も認めます。涼子の母・邦子は裁判を認めてくれと言い、もし認めてくれないならば、診断書を取って教育委員会に提出すると脅しました。学校側は認めざるを得ない状況に陥ります。
学校内裁判が決まりましたが、やはり一部の先生が内申書を盾にとり、露骨に圧力をかけました。
しかし生徒たちも徐々に動き始めます。まず動いたのは、死んだ浅井松子が所属していたブラスバンド部の生徒たちでした。
人のよい松子は部員にも好かれており、皆が真実を知りたいと訴え始めます。
続いて辞職した森内先生が顧問をしていたバスケ部も立ち上がり、さらに北尾先生の「退職願」を出してのバックアップもあって、徐々に裁判に参加したいと言い出す人間が集まりました。
開廷日は8月15日決まり、審議は5日間行なわれることも決定します。
弁護士役に神原が名乗りを上げ、検察官役は涼子で、陪審員数名も決まりました。判事は、優秀な井上康夫に引き受けてもらいます。
同じ頃、調査会社を雇った森内先生は、隣人の女性・垣内美奈絵が郵便物を抜き取っていたと知りました。垣内美奈絵は夫と不仲で、夫と揉めている現場を森口に見られたことがありました。その逆恨みです。
夏休みの直前、大出宅が出火し、祖母が亡くなる事件が起きました。
数日後に大出を訪ねた神原は、自分の父が母を殺した過去を告げ、弁護役をしたいと言います。大出は自らの隠したいであろう過去を進んで話した神原に、心を少し許しました。
裁判に向けて準備が進みます。
「なぜそんなに頑張るんだ」という北尾先生の問いに、他校生の神原は「試されている気がする」と答え「かつて僕は柏木君に、『口先だけの偽善者』だと言われたことがある」と告げました。
同じ言葉をぶつけられたことのある涼子は、同調します。
…その頃、樹理は第2の告発文を「ニュースアドベンチャー」の茂木宛に、学校内裁判の件をワープロで打ち込む姿を、母・未来に目撃されました…。
(エンド後)『後篇・裁判』の予告。

みんなの感想

ライターの感想

原作の宮部みゆきさんの小説は、構想15年、執筆に9年をかけたという大長編ミステリー。
登場人物の大部分が中学生であるこの小説を実写映画化するにあたり、全国オーディションが開催されました。主役の涼子を含む主要な生徒役を、日本中から探したのです。演技経験などを問わずに選ばれた子役の中には、この映画がデビュー作になった方も少なくないとか。
監督と制作陣の、原作への想いと本気を感じます。ミステリーとは言っても、子供たちの成長のお話でもある作品です。小説では、中学生特有の心の動きや葛藤が繊細に描かれていて、それを映像化出来るのか…と思っていましたが、選ばれた子役のみなさんの演技が素晴らしい!特に、いじめられながらも強く優しく育った松子が、間違いを犯そうとする友人の樹理に、涙ながらに怒って止めるシーン。演技をは思えない迫力で、とても心打たれました。

ライターの感想

宮部みゆきによる、単行本じつに3冊にわたる長編小説の映画化。
なにせ原作が長い。そして原作はかなり緻密に描かれている。
それを前後篇の2部構成とはいえ押しこめるので、やはり若干「急いでる感」はある。
登場する俳優たちも脇を豪華なキャストで固めている。
今作品、前篇は非常に力作だと思う。
事件の勃発から、一旦は落ち着いたかに思えたものが再熱する過程がきちんと描き込まれている。
おのおのの人物が考えていることも手に取るように判る。
だから、非常にはらはらどきどきしながら見る2時間。
…に対し、これは申し訳ないのだが、後篇は明らかに失速している。
やむをえないのかもしれないが、原作であった「これは外せないであろう」エピソードを間引いてしまったがために
残念な結果になってしまっている(特に、原作を知っている者にとっては)。
  • jo6421さんの感想

    生徒たちの鬼気迫る演技をみるだけでも一見の価値あり。これで演技は未経験の者もいると言うのだから恐れ入ります。
    そんなどこにでも居そうなごく普通の中学生、しかし実際には子供ならではの残酷な面も持っていて…と前編は怖さが良い感じにブレンドされてます。
    転落死した少年は自殺方殺かという謎が、どんな形で事態が収束するのだろうと後編への期待も高まります。
    ただ前編がサスペンス仕立てだったのに比べ、後編はヒューマンドラマになっており、期待した分、肩透かしを食らわされた感があります。

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