映画:ラブレス(2017年)

「ラブレス(2017年)」のネタバレあらすじと結末

ラブレス(2017年)の紹介:2017年製作のロシア&フランス&ドイツ&ベルギー合作映画。第70回カンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いたロシア発の人間ドラマ。お互いに新たなパートナーとの生活を決め、離婚間近の夫婦が突然の息子の失踪を機に自らを見つめ直す姿を描く。

あらすじ動画

ラブレス(2017年)の主な出演者

ジェーニャ(マルヤーナ・スピヴァク)、ボリス(アレクセイ・ロズィン)、アレクセイ・スレプツォフ(マトヴェイ・ノヴィコフ)、マーシャ(マリーナ・ヴァシリイェーヴァ)、アントン(アンドリス・ケイシス)、コーディネーター(アレクセイ・ファティフ)

ラブレス(2017年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①12歳の少年・アレクセイの両親は離婚寸前。父・ボリスにも母・ジェーニャにも、すでに新たな恋人がいる。両親が自分を押し付け合っている口論を聞いた翌日、アレクセイは失踪。 ②警察は家出人扱いでろくに捜査せず、代わりに市民の捜索隊が本格的に捜索するが、アレクセイは行方知れずのまま。ジェーニャもボリスも失って初めて、アレクセイへの愛を自覚。

【起】- ラブレス(2017年)のあらすじ1

ラブレス(2017年)のシーン1 ロシア・モスクワ。
2012年、秋。


12歳の少年アレクセイ・スレプツォフの家庭は、離婚寸前でした。

アレクセイの父・ボリスは、いわゆる一流企業で働くサラリーマンです。
ボリスの会社では「夫婦は死別以外、考えられない」という方針でした。
世間体を気にするボリスは、「離婚してもすぐ再婚すれば、会社にバレないだろうか」と、そればかり気にしています。

アレクセイの母・ジェーニャは、高級美容サロンのマネージメントをしています。

両親には、すでに新しい恋人もできていました。
父・ボリスはマーシャという女性と交際しており、マーシャはボリスの子どもを妊娠しています。
母・ジェーニャはアントンという男性と交際しています。
アントンは3年前に離婚が成立しており、成人した娘しかおらず、ジェーニャとの交際にも前向きでした。


もともと、両親は大恋愛をして結婚したわけではありません。
厳しい母親に育てられたジェーニャは、ボリスと関係を持った際に「うっかり」妊娠してしまったのです。
妊娠を知り、ボリスとジェーニャは結婚しました。
堕胎も出産も怖いまま動かずにいたジェーニャは、難産ののちにアレクセイを生みました。
「子どもへの愛はない」
出産で苦痛を味わったジェーニャは、そう断言します。

とにもかくにも、ボリスとジェーニャの夫婦の間には、すでに愛情はありませんでした。
高級マンションを購入していたものの、今は一刻も早くそのマンションを売り、別れたいと考えています…。


学校が終わって下校するアレクセイは、道に落ちていたリボンを振り回します。新体操の競技に使うような、棒の先に長いリボンがついているものです。
アレクセイがリボンを投げると、リボンは枯れた樹木の枝にひっかかりました。
アレクセイはそれを放置して、家に帰宅します。

アレクセイが宿題をしていると、母のジェーニャが内覧の家族を家に招き入れました。
ジェーニャは買い手に購買意欲を持たせるため、必死で家をアピールします。
12歳のアレクセイは、両親からまだ離婚のことを聞いていません。
しかし家の様子を見ていると、なんとなく想像はできます。
父・ボリスは愛人・マーシャの家に寝泊まりし、たまにしか帰ってきませんし、母・ジェーニャも時々愛人の家に泊まってきます。


その夜、ボリスが家に帰ってきました。
両親が顔を揃えると口論の議題にのぼるのは、「どちらがアレクセイを引き取るか」でした。
父も母も、アレクセイを引き取るのを拒否し、押し付け合います。

ボリスは「子どもは母親が引き取るものではないか」「家庭裁判所で不利になるぞ」と言って、ジェーニャに押し付けたがります。
それもそのはずで、再婚の予定である相手・マーシャは妊娠しており、そこへ12歳のアレクセイを引き取っても、うまくいかない可能性が濃厚だからです。
母・ジェーニャも譲りません。
ジェーニャは「離婚して、前へ進みたい」と思っており、そのためには煩わしい前の結婚の残滓であるアレクセイなど、必要ないのです。

【承】- ラブレス(2017年)のあらすじ2

ラブレス(2017年)のシーン2 その夜の口論は、互いを罵倒するものでした。
ボリスの両親は他界しており、ジェーニャには折り合いの悪い母がいますが、アレクセイにとっての祖母も、引き取らないであろうことは必至です。
一刻も早く別れたい2人は、大声で喧嘩しました。
ボリスもジェーニャも、それぞれ相手に恋人がいることを知っています。
それを廊下で聞いていたアレクセイは、両親の口論を聞きたくないとばかりに、耳を押さえると目をつぶりました。
「自分はいらない子」と言われているようだからです…。


2012年10月10日。
アレクセイは学校が終わった後に、行方不明になりました。
しかしこの段階では、まだ誰もそのことを知りません。


父・ボリスは職場で、離婚が露見したらまずい事態になるかと、同僚に相談していました。
離婚はご法度というのが会社の暗黙の方針だと知ったボリスは、ジェーニャと正式に離婚したらすぐマーシャと再婚し、離婚したことが知れないようにしようと考えます。

母・ジェーニャは愛人・アントンの部屋で、逢い引きをしていました。
そのままジェーニャは、アントンの部屋に泊まります。
翌日、朝帰りしたジェーニャは、そのままベッドにもぐりこみました。
わが子・アレクセイに注意を払うことなく、過ごします。


翌日。
アレクセイが2日間、登校していないと担任教諭から電話をもらったジェーニャは、ボリスに電話をかけて、アレクセイのことを知らないか質問します。
ボリスは当然、知る由もありません。
それを確認した後、ジェーニャは警察へ通報します。

通報を受けた刑事は家宅捜索をし、「犯罪性はない」と言いました。
こういう場合にはまず「親が子どもを殺害した」ことを疑うのだそうです。
事件性がないと踏んだ刑事は、アレクセイを「家出人」扱いしました。
小さな子どものことなので、友だちの家に泊まったり、あるいはどこかで時間をつぶしたりしているのではないかと言います。

刑事は「なぜすぐに気付かなかったのか」と質問し、離婚で揉めている真っ最中のジェーニャは動揺します。
恋人の家に寝泊まりしていたから、発見が遅れた…と言いにくいジェーニャの発言は、しどろもどろでした。
ジェーニャは捜索をしてほしいと言いますが、「家出人を捜索するゆとりがない」と警察に一蹴されます。
しかし刑事は「市民の捜索隊に依頼したらどうか」と助言しました。
ボランティアの団体があり、そこだと熱心に探してくれるそうです。しかも、警察と上手に連携プレーをしてくれるのだそうです。
ジェーニャは市民の捜索隊に依頼します。

【転】- ラブレス(2017年)のあらすじ3

ラブレス(2017年)のシーン3 市民の捜索隊は手慣れたもので、てきぱきと対応してくれました。
イワンという男性が捜索の指揮を執り、助手の女性・レナに指示を飛ばします。
イワンはアレクセイの容貌、特徴、いなくなった時の服装などを聞き、それらを書類に書きこみます。
アレクセイが特に親しくしていた友だちの情報を聞き、アレクセイが使っていたパソコンなどを調べると言いました。SNSやメールの送受信から、行き先の手がかりを得ようというものです。

祖父母の家に行っていないかと、イワンが聞きました。家出人の場合、親類縁者のところへ駆け込む時もあるのだそうです。
ボリスの両親はいませんが、ジェーニャの母が健在だと知ると、そこを探せとイワンが命じました。
ボリスとジェーニャは車に乗り、助手のレナの運転する車がついていきます。

祖母の家は、車で3時間かかる、キエフ・ハイウェーの近くにありました。
真夜中の来客、しかも仲の悪い娘がやってきたと知ると、祖母は激昂します。
レナは手早く室内の捜索をしますが、祖母は終始怒っていました。
ジェーニャは電話で訪問の連絡をしていたのですが、祖母は携帯電話をなくしたと言います。
レナが捜索時に、ベッドの下に落ちていた携帯電話を見つけていました。
祖母はそれを充電しますが、最後まで怒ったままボリス、ジェーニャ、レナを追い出します。


同じ頃。
アレクセイの自宅周辺では、ボランティアが集合してローラー作戦で捜索を開始していました。
家出人は屋根があるところを好む傾向があるので、マンションの廊下やエレベーター、階段なども調べられます。
かなりの数のボランティアが投入されましたが、それでも成果は皆無でした。


さすがにこうなると、イワンたちもおかしいと感じます。
家出の次にイワンが考えたのは「誘拐」でした。
しかし身代金の要求など一切ないために、すぐにこの疑いは晴れます。
自宅周辺の監視カメラを確認しますが、失踪前後のアレクセイの姿は、一切映っておりませんでした。
「あまりに映っていない」事実に、イワンは不自然さを感じます。

学校へ出向いたイワンは、教師たちの立ち合いの下、アレクセイの友だちにやんわりと聞きこみをしました。
ふだんアレクセイとどこで遊ぶか聞いたイワンは、秘密基地の場所を教えてくれと言います。

【結】- ラブレス(2017年)のあらすじ4

ラブレス(2017年)のシーン2 秘密基地は、少年とアレクセイがチャットで話題にしていたのでした。
「アレクセイがそこで動けない状態だった場合、助けないとならない。それは、アレクセイとの約束を破ったことにはならない」
説得が功を奏し、森の中にある廃墟のビルの地下室が、秘密基地だと判明しました。

秘密基地に捜索隊が投入され、捜索に当たります。
その場所で、アレクセイの上着が発見されました。捜索隊は、アレクセイ発見も近いと手ごたえを感じます。
しかし廃墟をさらうように見て回っても、アレクセイはいませんでした。
捜索範囲を広げ、山狩りをしてもアレクセイの姿は見つかりません。


アレクセイが失踪したという事実が、ようやく現実味を帯びてきました。
捜索チームはアレクセイの手配書(目撃者の情報を募るもの)を作り、ビラ、チラシを張りだす作戦に出ます。
雪はとっくに降り始めていました。
ボランティアはアパートを巡り、廊下や小さな隙間にアレクセイが隠れていないか確認しますが、成果はありません。


ジェーニャは病院をめぐり、12歳前後の少年が運び込まれていないか確認します。
1人該当者がいました。しかし全くの別人でした。

警察に呼ばれたボリスとジェーニャは、そこで遺体を確認しろと言われます。
遺体を見たジェーニャは、覚悟を決めていたものの、やはり気圧されました。
遺体は別人でした。アレクセイは胸にホクロがあると、ジェーニャは言います。

ジェーニャはこれまで、「アレクセイなどいらない」と思っていました。
ところが実際にアレクセイがいなくなると、ジェーニャは今更ながらアレクセイ不在を嘆き、「手放すつもりはなかった」と絶叫します。
「念のためDNA鑑定をしましょう」と言う警察に、ジェーニャは猛烈に反発しました。
わが子・アレクセイが死んでいるなどと、考えたくないのです。

そしてボリスも同じ気持ちでした。
今まで「アレクセイなどいらない」と考えていたのですが、いなくなって捜索をしているうちに、気持ちが変化していました。

最悪の事態(アレクセイが死んでいるかもしれない)を目の前に突きつけられて、奇しくもボリスとジェーニャは、アレクセイへの愛情を気付かされます。

しかし、もうすべては遅いのです。アレクセイは戻ってきません。
アレクセイを失ったジェーニャは、愛人・アントンと過ごしていながらも、抜け殻のようでした。
心ここにあらずといった感じで、ぼうっとしています。

季節は秋から冬に変わり、寒々しい樹木に、アレクセイが下校時に振り回してひっかけたリボンが揺れていました。

(アレクセイがどこへ行ったかは謎。そこは問題ではない。
映画で扱われているのは「なくして初めて気付く愛」)

(どうしても納得できない人用に。
この映画ではラストシーンで、川が映される。
秘密基地の付近の山狩りをした際に、出てきた川。
厳密には川というより、湖や沼といった感じのもの。
市民捜索隊はここで、「川を探すのは警察の仕事。自分たちはできない」と言う。
つまり手つかずの川に、アレクセイは沈んでいるのではないか…そう匂わせるラスト)

みんなの感想

ライターの感想

もう、この冒頭の夫婦の口論がひどい!
原題は違う(『Nelyubov』)のだけれども、まさしく「ラブレス(ラブが足りない)」…。
廊下で両親の口論を聞くアレクセイ、このシーンは見ていられなかった。つらいつらい。
アレクセイはどこへ行ったのか判らないまま。
両親は自分たちのことしか考えておらず、アレクセイのことを親身になって探してくれるのは、市民の捜索隊。
ほんの少しだが、ジェーニャやボリスがアレクセイ失踪を悲しむようになり、救われた。
でも…たぶんアレクセイはもう亡くなっているものと思われる。切ないラスト。

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