「三度目の殺人」のネタバレあらすじと結末の感想

三度目の殺人の紹介:裁判の勝利にこだわる弁護士が、供述が二転三転していく容疑者に翻弄されていく。得体の知れない容疑者に飲み込まれる弁護士が辿り着いた感情、そして真実とは…。
2017年9月公開の是枝裕和監督が手がけた心理サスペンス。是枝作品として22年ぶりにヴェネチア国際映画祭にてコンペティション部門に正式出品されたほか、トロント映画祭でも上映された。

予告動画

三度目の殺人の主な出演者

重盛朋章(福山雅治)、山中咲江(広瀬すず)、川島輝(満島真之介)、篠原一葵(市川実日子)、重盛彰久(橋爪功)、山中美津江(斉藤由貴)、摂津大輔(吉田鋼太郎)、三隅高司(役所広司)

三度目の殺人のネタバレあらすじ

【起】- 三度目の殺人のあらすじ1

勤めていた食品加工会社を解雇された三隅は、社長を殴打し殺害した後、財布を奪って死体に火を付けた容疑で起訴されます。30年ほど前に侵した強盗殺人で服役した前科のある三隅は、今回は死刑が確実視されていました。

勝つことにこだわり続ける弁護士・重盛は、供述がころころと変わる三隅にさじを投げた同期の摂津に依頼され、仕方なく三隅の弁護を担当することになります。奇遇にも重盛の父は、30年前の三隅の事件で温情判決を下した裁判長でした。拘置所に初めて面会に来た重盛に三隅は、「ギャンブルする金が欲しくて殺しました」と自供し、殺害後に工場にガソリンを取りに戻ったと話し、右手のやけどはその時のものだと言います。しかしこの日の証言も以前とは微妙に違うため、同席した摂津は戸惑いを隠せません。

三隅の罪を何とか無期懲役に減刑しようと考えた重盛は、事務所の新人・川島と共に調査を始めます。事件現場の河川敷を訪れた2人は脚の不自由な少女が来ていたのを見かけ、重盛は十字架の形の焼け跡と共に気になりました。また犯行当日三隅が乗ったタクシーの映像を見た重盛は、財布を盗ったのはガソリンをかけた後だと判明させます。
被害者の自宅を訪ねた重盛を出迎えたのは、先日事件現場にいた少女で、彼女は被害者の娘・咲江でした。工場の職員には前科者も多く給料において問題が多かったとの情報を聞いた重盛は、事実はともかく解雇された怨恨による殺人プラス窃盗という、強殺より罪が軽い弁護方針に持ち込もうと考えます。
ところが三隅が週刊誌の取材を勝手に受け、被害者の妻・美津江に頼まれた保険金目当ての殺人だったと証言したのです。美津江から依頼されたメールが携帯に残っていること、給料の他に50万円を入金された口座があることを三隅は重盛に伝えました。何故最初に言わなかったのかと呆れる重盛ですが、美津江が主犯という視点に切り替えます。

【承】- 三度目の殺人のあらすじ2

三隅は美津江との男女関係を認めているわけでもなく、メールも決定的な証拠にはならず、怨恨か保険金目当てかどちらが真実か悩む川島に、どちらが本当かよりも役に立つ方を選ぶと重盛はあっさりと切り捨てます。依頼人への理解や共感など不必要だという重盛は、公判前の整理手続の際に検察官・篠原から「あなたのような弁護士が犯罪者が罪と向き合うのを邪魔する」と罵られました。

美津江との関係の裏付けのために重盛が三隅のアパートを訪ねると、部屋によく来ていたのは美津江ではなく咲江だったということを大家から聞かされます。また三隅が飼っていたカナリアの墓には、犯行現場と同じように十字架があしらわれていました。不審に思った重盛が墓を掘ると、5羽ものカナリアが埋められており、さらに家賃はいつもより10日前に支払っていて、それらは三隅が身辺整理をした形跡でした。
最初から捕まるつもりだったのではと疑う重盛に三隅は、「重盛さんは分かっていない」と答えをはぐらかします。三隅は相手のことがよく分かると言って、接見室のアクリル板の間仕切り越しに重盛の手を合わさせると、娘さんはいくつになったかと問いかけました。離婚協議中で家族と離れて暮らすものの娘を持つ重盛は心を覗かれたようで、冷静を装いますが激しく動揺しました。

重盛の父・彰久が、三隅の30年前の資料を持って北海道から来ます。彰久は「三隅は殺しを楽しむような獣で、理解するだけ無駄だ。あの時の温情判決の結果また人が死んだ」と冷たく断言しました。三隅が仮釈放の際に彰久に送った娘との思い出が綴られた葉書を、重盛は彰久から受け取ります。
重盛と川島は三隅の故郷・留萌にて、30年前に三隅を逮捕した元刑事から、証言がよく変わっていたこと、犯行時に彼に恨みがあったわけでもなく、空っぽの器のような男だったと聞かされます。また2人は情状証人を依頼するために三隅の娘が勤めていた店へ出向くものの、町にいられなくなった娘は行方知れずで、あんな人死んでほしいと父を恨んでいたことも分かりました。

【転】- 三度目の殺人のあらすじ3

娘に会いに行ったことを伝えた重盛に、事前に言って欲しかったと三隅は激しく苛立ちます。生まれて来なければいい人間もいると自責する三隅に、真っ直ぐな川島がそんな人はいないと宥めますが、三隅は話の途中で退席しました。
三隅との関係を知るため咲江を尾行し続けていた重盛は、いよいよ咲江に話しかけます。三隅の娘も脚が不自由だったと留萌で聞いた重盛は、それを咲江に伝えますが彼女は三隅に娘がいたことさえ知らずに驚きました。

公判に向け、窃盗と保険金目当てで依頼された殺人という設定を重盛は三隅に念押ししますが、嘲笑うかのように三隅は「本当はなんで殺したと思ってるの?」と問いかけてきます。反対に今度は重盛が、十字架は罪を裁くためだったのでは?と質問すると、裁かれるのは自分の方だと三隅は嘆きました。そして涙ながらに、罪のない両親や妻が亡くなったのに自分が生きていて、命は理不尽に選別されていると声を荒らげました。三隅の家族が亡くなっていた事が初耳だった重盛は戸惑います。

第1回公判が開廷し、三隅は重盛との打合わせ通りに証言しますが、無論証人の美津江が否定します。公判後、驚くべきことに重盛の事務所に咲江が来ます。彼女は実の父親にレイプされていました。そのことを三隅に打明けると、父を殺したいと思った気持ちが三隅に伝わったのだと激白したのです。慕っていた三隅を救うために法廷で証言したいと、咲江の気持ちは固まっていました。勝利しか興味が無かったのに、初めて真実を知りたいと望む重盛と、真実に目を伏せる摂津の考えがすれ違っていきます。
重盛は三隅に咲江の申し出を伝えますが、三隅はそんな話は知らないと言い切ると、続けて「本当は私殺していないんです」と衝撃の告白を始めます。最初に犯行を否定したけど、認めれば死刑にはならないと、警察も摂津も聞いてくれなかったと言うのです。会社は食品偽装をしていて、振込まれた50万円はその仕事への対価で、人の弱みに付け込み生きるより刑務所の方が嘘をつかずに済むと思い、殺人の自白をしたと三隅が言い出しました。今度こそ本当のことを教えてくれと取り乱す重盛に、財布は盗ったが河川敷には行っておらず、金は娘に送ったと三隅は新たな証言をします。裁判の戦術なんかどうでもよくて、信じるか信じないのかと三隅に詰め寄られた重盛は、依頼者のあなたの意見を尊重しますと答えました。
重盛から話を聞いた摂津は、裁判で負けるぞと彼を説き伏せようとしますが、三隅に翻弄されつつも正義感の湧き出した重盛は、弁護士は依頼者の主張に沿うべきだと反論しました。

【結】- 三度目の殺人のあらすじ4

次の公判日。重盛は頑なな咲江を、三隅が否認しているため証言をしないでほしいとなんとか説得します。開廷すると三隅が容疑を否認したため、法廷内はざわつき始めました。休廷中に重盛は、裁判長に責められます。重盛は犯人性を争うと訴えるものの、裁判はやり直しにはなりませんでした。裁判員の日程の問題や、裁判官も数をこなし実績を作らなければならないという事実があるのです。その結果次の公判にて、三隅の証言に合理性は認められないと死刑判決が下されました。ショックを受けた咲江は呆然とします。三隅はありがとうと重盛に握手を求め、静かに退廷しました。
公判後、肩を落とす咲江を見かけた重盛は謝罪の言葉を述べます。すると咲江は「あの人の言った通りでここでは誰も本当のことを話さない。誰を裁くかは、誰が決めるんですか」と強い眼差しで呟きました。

重盛はあれから、三隅が犯行を否認していた理由をずっと考えていました。再び面会に訪れた重盛は、否認したのは娘のように思っていた咲江に辛い証言をさせないためだったのではないかと三隅に尋ねます。「それが本当ならいい話ですね。もしこんな人殺しの私でも誰かの役に立てるんだから」と三隅はほくそ笑みました。未だ三隅の真相が掴めない重盛は「あなたはただの器?」と問うと「なんですか器って」と三隅はまた笑うのでした。
接見室を出た重盛は交差点の真ん中に立ちどまり、1人空を仰ぎました。

みんなの感想

ライターの感想

鑑賞者までもが劇中の重盛のように三隅に心を操られるようで、肩に力が入り観終わった時にはどっと疲れが出ました。明確な答えを提示せず観た者の心に委ねられる作風は是枝監督ならでは。今作はサスペンスということもあり、ことさら思考が揺さぶられます。もちろんこれを受付けない人もいると思いますが、フィクション作品に日常までもが乱されるようで、もの凄く力のある作品だと是枝ファンとしては実感しています。
また「ここ(法廷)では本当のことを話さない」との咲江の言葉が胸に突き刺さりました。司法とは何を裁くものなのでしょうか…。
親譲りの冷酷な性格の重盛に正義感が芽生えた時、三隅が咲江を守ろうとしたこと…、もう単純に感動しました。

二度目の鑑賞で自分なりの答えを導き出しましたが、三度目でこそ真実に辿り着けるのかもしれません。もう一度観たいです。
  • はなちゃんさんの感想

    ただのウツワって何ですかね…
    アタシももちろん作品に感動して少し泣きました…
    デモ
    ウツワの意味が良く解りませんでした…
    司法を操る上でのただのウツワという意味でしょうか?
    それもと
    ミスミ自身がただのウツワで中身が無く
    誰かに導かれたという意味何でしょうか!?
    それとも…
    見た人達に委ねられるって解っていても
    はっきりさせたかったので是非ともご意見を聞かせていただきたいです…。

  • たまたま感想入力さんの感想

    器は、何でも入れることが出来る。
    何でも。ここでは入れるものは人間の感情。
    しかし、器自身に意志は無い。
    って受けとめました。

    身の回りで起きる理不尽なことに、正義感から猛烈な怒りを覚え、ことを終わらせる。

    感情を自分の器にそぞきこみ、ひっくり返す。
    ひっくり返すとは、殺人のこと。
    ひっくり返したら、何も残らない、ただの器。

    自分には、正義があると思っているから、悪いと思わない。
    悪いと思わないから、取り調べに嘘が言える。

    三隅は正義感あふれる、人間味のある人なのに、その解決方法は殺人。
    人間味があるから、咲江を守ろうとしたようにみえる。
    殺人を実行したのは三隅。
    実行したのは、正義感から。
    だから、「・・・だとしたら、いい話ですね。」

    と解釈をしています。

  • たまたま感想入力さんの感想

    器って、何でも入るもの。
    ここでは、人の感情を入れるもの。
    器に、意志はない。
    器に入った、見たもの、聞いたものが、三隅の正義感を高ぶらせ、ひっくり返す、殺人。
    ひっくり返したあとは、何も入っていないただの器。
    もがき、苦しんだ人が、三隅によって開放される。
    感謝をする。
    三隅は、正義感を満足させる。
    咲江を守ろうとしたのは、正義感。
    だとしたら、いい話ですね。は、正義感を達成した後の話となる。

    見たものを、殺人という、後の続きのない、解決方法が三隅の正義感。
    と解釈しました。

  • 匿名さんの感想

    三度目の殺人ってなぜ三度目なんですかね?二回しか殺人してないのに?

  • 匿名さんの感想

    >なぜ三度目なんですかね?
    三度目は「死刑になった自分」なんじゃないでしょうか

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