「寒い国から帰ったスパイ」のネタバレあらすじと結末の感想

寒い国から帰ったスパイの紹介:1965年にイギリスで製作された冷戦下のスパイを主人公としたサスペンス映画。ジョン・ル・カレの小説「寒い国から帰ってきたスパイ」を映画したもので、東ドイツの有力者を失脚させるためにイギリスのベテラン諜報員が奔走する姿を描いていく。イギリスアカデミー賞では英国男優賞を始めとする4部門に輝き、アカデミー賞でも主演男優賞、美術賞の候補にも選ばれた。

寒い国から帰ったスパイの主な出演者

アレックス・リーマス(リチャード・バートン)、ナン・ペリー(クレア・ブルーム)、フィードラー(オスカー・ウェルナー)、ジョージ・スマイリー(ルパート・デイヴィス)、ハンス=ディーター・ムント(ペーター・ファン・アイク)

寒い国から帰ったスパイのネタバレあらすじ

【起】- 寒い国から帰ったスパイのあらすじ1

舞台は東西冷戦下のドイツ、ベルリン。イギリス諜報部は東ドイツの実力者ムントの失脚を画策し、何人ものスパイを送り込んでいました。しかし、いずれのスパイも実りある成果を残せず、イギリス諜報部は苛立ちを感じ始めていました。そこでイギリス諜報部はベルリンを統括する諜報員のリーマスを東ドイツに送り込むことを決めます。リーマスは寒い国に居続けること、つまり感情を捨ててスパイの仕事を続けることにためらいはありませんでしたが、資本主義も社会主義も目的のためには手段を選ばない思想であることに嫌悪感を抱いていました。

リーマスは東ドイツに潜入するための準備として、まずイギリス諜報部を解雇されたという経歴を偽造します。さらに、イギリスの心霊研究図書館に再就職し、飲んだくれのろくでなしのふりをするリーマスでしたが、そんな中出会った図書館の同僚のナンの明るさに惹かれ、次第に恋い慕うように。ナンは共産主義を信奉していたものの、長い間感情を捨ててきたリーマスに温かな愛情をもたらす癒しの存在となっていきました。

その後、リーマスは雑貨屋で暴力沙汰を起こし逮捕されました。出所したリーマスを、笑顔のナンが待ち構えていました。リーマスはナンとの再会を済ませた後、一人公園で休んでいました。すると、そこに謎の男が近づいてきました。男は出所者を支援する団体の者と名乗り、リーマスの就業支援を申し出てきました。しかし、それは表向きの団体の肩書きで、実際には東ドイツ諜報部の下にある組織でした。東ドイツ諜報部は、元イギリス諜報部のリーマスを東ドイツに寝返らせ、大金の報酬と引き換えにイギリスの機密情報を獲得したいと考えていたのです。

【承】- 寒い国から帰ったスパイのあらすじ2

リーマスはイギリス諜報部からこのまま東ドイツに寝返ったふりをし、フィードラーと接近するよう命令を受けます。フィードラーはムントと敵対関係にある東ドイツ諜報部の幹部で、今回の作戦の目的はフィードラーをうまく転がすことによりムント失脚を成し遂げることでした。

東ドイツ諜報部にイギリスの機密情報を提供する旨を伝えると、早速リーマスはオランダのハーグに発つこととなりました。出発前夜、リーマスはしばしの別れを告げるためにナンの家を訪れました。ナンはリーマスに優しくキスし、リーマスはまた必ず戻ってくることをナンに約束しました。

ハーグに着くと、リーマスはイギリス諜報部では内勤だったと嘘の経歴を語り、送金方法や銀行口座などの情報を詳細に伝えました。すると、リーマスは突然東ドイツに移動するよう指示を受けます。イギリス諜報部がリーマスの行方を追っているという偽の新聞記事を信じて、東ドイツ諜報部はリーマスを囲い込もうと考えたのです。

東ドイツでリーマスを待っていたのは、ムント失脚計画で重要な鍵を握るフィードラーでした。幸いなことに、リーマスが東ドイツに到着したとき、ムントは長期で東ドイツを不在にしていました。リーマスは落ちぶれた元諜報部職員を演じきり、ムントが東ドイツを裏切ったと思わせるような情報を言葉巧みにフィードラーに流していきました。また、イギリス諜報部が事前にばらまいた偽の情報が功を奏し、計画通りフィードラーは徐々にムントへの不信感を募らせていきました。

しかし、計画が順調に進んでいるかと思われた頃、リーマスは帰国したムントによって捕らえられてしまいました。

【転】- 寒い国から帰ったスパイのあらすじ3

ムントはリーマスがイギリスのスパイであることを見抜き、尋問を行いますが、その最中にムントは逮捕されてしまいました。ムントがイギリスのスパイと確信したフィードラーがムントを訴えたのです。

ただちにムントの罪をめぐる査問会が開かれました。フィードラーはリーマスがもたらした情報に基づき、西側諸国で危険な任務に従事してきたムントがこれまで無事でいられたのは、イギリス諜報部と繋がっていたからに他ならないと主張。リーマスはムントがイギリスのスパイなら自分が知らないはずはないとムントをかばう証言をしますが、それはムントの裏切りというシナリオに信憑性を与えるための作戦でした。

フィードラー側の主張が終わり、今度はムントの弁護人の主張が始まりました。弁護側は今回の訴えがムントを失脚させるためのイギリスの策略であることを見抜いていました。ムントはイギリス諜報部の目論見を予見してリーマスを独自に監視しており、リーマスがイギリス諜報部の人間と接触していることもつかんでいました。さらにリーマスを追い詰めたのは、ムントの弁護側がナンを証人として呼んでいたことでした。ナンは共産党の国際交流会に呼ばれ東ドイツを訪れていましたが、それは弁護側が仕組んだ嘘でした。ナンは目の前にリーマスがいることを理解できず、ただ動揺していました。

【結】- 寒い国から帰ったスパイのあらすじ4

わけがわからないままナンはリーマスに不利な証言を続けてしまいました。知らない団体から多額の生活費の補助を受けていること、リーマスの不在中に謎の男が家を訪ねてきたこと、そして、その男の名前がイギリス諜報部の幹部ジョージ・スマイリーであったこと…これ以上ナンに迷惑をかけたくないという思いから、リーマスはすべてを告白しました。結果、フィードラーは拘束、リーマスとナンは逮捕されてしまいます。

しかし、その夜リーマスは監房から脱出し、ナンも解放されました。このお膳立てをしたのは意外にもムントでした。ムントは実際にはイギリス諜報部のスパイで、今回の作戦がムント失脚を企てる勢力を一掃するためのものだったことをリーマスは理解します。そして、スパイがいかにご都合主義な人種であるか痛感しました。一方、ナンは自分まで助けられたことに困惑していました。

リーマスとナンは国境を越えるべくベルリンの壁に向かい、そこでムントの部下と合流しました。二人はムントの部下の指示に従い東ドイツの監視を避けて壁を越えようとしますが、リーマスに続きナンが壁を昇ろうとしたとき、後ろからムントの部下がナンを射殺しました。壁の向こうではジョージ・スマイリーがリーマスに早く降りるよう声をかけていましたが、リーマスは東ドイツ側に戻ってしまいます。リーマスがナンの死体に近づこうとしたとき、東ドイツの国境警備がリーマスに発砲しました。二発の銃弾を受けたリーマスはその場に倒れこみました。

イギリス諜報部が企てた計画は、1組の恋人の死という悲劇で幕を閉じました。

みんなの感想

ライターの感想

主人公を演じたリチャード・バートンの感情を抑えた演技は、スパイという温かみのない職業を実感させる素晴らしい演技だったと思います。タイトルの意味が最後になってようやく理解されるストーリー展開も見事で、共産党を信奉するという点を除けば善良なイギリスの市民だったヒロインが犠牲になってしまうラストに、主人公が語る諜報部のご都合主義が痛感させられました。

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