映画:彼女がその名を知らない鳥たち

「彼女がその名を知らない鳥たち」のネタバレあらすじと結末

彼女がその名を知らない鳥たちの紹介:2017年10月28日公開の日本映画。沼田まほかるのベストセラー小説を『凶悪』の白石和彌監督が映画化したミステリー。同居人の男に嫌悪感を抱きつつも、その稼ぎで働きもせずにだらだらと本能のままに生きるヒロインの十和子を蒼井優が演じ、新境地を発揮する。また、その同居人を阿部サダヲ、元恋人の黒崎を竹野内豊、新しい彼氏を松坂桃李が演じる。

あらすじ動画

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彼女がその名を知らない鳥たちの主な出演者

北原十和子(蒼井優)、佐野陣治(阿部サダヲ)、水島真(松坂桃李)、國枝カヨ(村川絵梨)、酒田(赤堀雅秋)、野々山美鈴(赤澤ムック)、國枝(中嶋しゅう)、黒崎俊一(竹野内豊)

彼女がその名を知らない鳥たちのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①8年前に別れた男・黒崎を忘れられず、日々無為に過ごす十和子、それを黙って支え続ける陣治。陣治は十和子に優しいのだが、下品で粗野で十和子の好みではない。十和子はあちこちにクレームをつけて憂さを晴らしている。腕時計のクレームで知り合った水島を好ましく思った十和子は肉体関係に。水島は妻帯者だった。 ②黒崎が5年前から行方不明と知った十和子は、陣治が殺害したのではないかと疑う。黒崎を殺害したのは十和子で、犯罪を隠匿したのは陣治。十和子が記憶を喪失したのを利用し、陣治は隠していた。

【起】- 彼女がその名を知らない鳥たちのあらすじ1

現在、大阪。

北原十和子(とわこ)は15歳年上の男性・佐野陣治と暮らしていました。陣治はもう50歳間近です。
十和子は毎日、無為に過ごしていました。仕事も家事もすべて、恋人の陣治に任せきりです。

中丸屋百貨店に電話を入れた十和子は、クレームをつけます。
3万5千円で購入した時計が壊れたのですが、部品がなくて修理不能と言われているのです。
ねちねちと文句をつけた十和子は、電話の女性に「責任者と話をしたいから、代わってくれ」と言いました。責任者は不在だと知ると、十和子は「またこちらから電話をする」と言って切ります。

陣治は毎日、こまめに十和子に電話を入れていました。十和子にとっては、そんな陣治を鬱陶しく感じます。
「もう電話せんとって」と冷たく電話を切ったところで、陣治はまた電話をかけてくるのです。
電話を切った十和子は、今度は近所のレンタルDVD店に文句をつけにいきました。
借りたDVDが、途中で再生できなくなったという文句です。
「同じ作品の別のDVDをもう1度お貸しするか、別の作品を無料でレンタルするか」
そんな店の対応に、十和子は激昂します。
「私が言うてるんは、そんなことと違います。私が途中まで見た時間を、どうしてくれるかいうことなんです」
その時、レンタルDVD店の外を、かつての恋人・黒崎俊一が通ったような気がして、思わず十和子は戸惑いました。

店の外に出た十和子は通りを見まわしますが、黒崎はいません。
十和子の苛立ちを煽るかのように、先ほど電話してきたばかりの陣治が、また電話をかけてきます…。

…十和子は8年前に、恋人・黒崎と別れました。しかも最悪な別れ方をしました。
別れ際に黒崎から暴力を振るわれた十和子は、頬骨や肋骨にヒビが入るケガを負わされたのです。
それでも十和子は、黒崎のことが忘れられませんでした。
陣治と暮らしていても、十和子は時折、黒崎のことを思い出してしまうのです…。

陣治は、爽やかな黒崎とは対照的な男性でした。
建設現場で働く陣治は色黒で、しかも少し太り気味です。
食事中にさし歯を外し、くつしたをぬいで足の指の間にたまったごみを、平気で取り出すような人でした。下品で行儀が悪い人です。
それでも陣治は常に十和子を最優先し、どんなに十和子にひどい目に遭わされても、せっせと十和子のために働きました。
夜は十和子の腰をマッサージし、「俺は十和子が笑うてくれてたら、それでええんや」と言います。
陣治にはひとつ、大きなコンプレックスがありました。それは「種なし(精子が少ない)」だということです。
十和子に尽くす陣治ですが、十和子はちょっとでも気に入らないことがあると、陣治のコンプレックスを罵って追い払います。
それでも陣治は十和子のために、お小遣いを置いて働きに出かけるのでした。

十和子の姉・野々山美鈴は、十和子とは対照的な人生を送っています。
結婚して勇作、麻奈という2児を儲けた美鈴は、いつも十和子に説教しました。十和子はそれも、鬱陶しく思います。
十和子がまだ黒崎のことを忘れていないことを、美鈴は見抜いていました。陣治が真面目で優しく十和子に尽力してくれていることを挙げ、黒崎のことなど忘れろと言います。
姉に「最近は黒崎からもらったダイヤのピアスもしてないようだし(だから黒崎のことを忘れたか)」と指摘された十和子は、ダイヤのピアスがどこにいったのか、気になりました。
帰宅後に探したものの、見つからないので、十和子は陣治の部屋に立ち入って調べます。それでも見つかりませんでした。

別の日。
中華料理のチェーン店で食事中の十和子のところへ、一本の電話が入ります。
それは中丸屋百貨店の時計売り場の主任・水島真からでした。
十和子は「こちらから電話する、いうたやないですか」と電話の相手を責めます。
水島の用件は、時計の修理が出来ない代わりに、購入金額と同等の別商品を用意するというものでした。それに対しても十和子は「厄介払いしたいってことやないですか」と文句をつけます。
「思い出の時計なんです」と言って電話を切った十和子は、それでも電話の主が気になりました。
あとで中丸屋百貨店の1階時計売り場の前まで行き、電話で主任の水島を呼び出してもらいます。
現れた水島が清潔で美男だと知った十和子は、胸をときめかせました。電話は無言のまま切ります。

水島に同等の商品を持って来てもらうことにした十和子は、家の掃除をしました。そのあと、水島を家にあげます。
水島は机の上に7点の時計を並べました。いずれも、購入した時計と似たイメージのものを用意したと言います。
しかし十和子は、「販売業者が探した」という言葉にひっかかりました。
「これって、私と中丸屋さんの問題ですよね」
そう言った十和子は、「もういいです。全部持って帰っちゃってください」と水島に言うと、号泣します。
目の前で急に泣き出した十和子を見た水島は、十和子にキスしました。
その後、水島は十和子に「来週の今日、また来ます。それまでに考えておいてください」と言いました。
「何を?」と十和子が聞きますが、水島は「僕にも分かりません」と答えます。
(男女の関係になるかどうかという打診)

【承】- 彼女がその名を知らない鳥たちのあらすじ2

その夜、十和子は自分が欲求不満だということに気づきました。
腰のマッサージをする陣治も気づき、指で満たしてやります。
陣治自身の性欲は、自分で処理すると言いました。

1週間後、十和子は水島の働く店に訪ねていきます。水島は十和子を見ると、下のオープンカフェで待っていてくれと言いました。
遅れて現れた水島は、自分が選んだ時計だと言いながら十和子の腕に時計を巻きます。
その後、水島と十和子は肉体関係になりました。
水島は十和子の孤独を感じたと、行為の後に言います。
水島の趣味を聞くと、「ひとり旅」という答えでした。
水島は「タッキリ・マカン」の話をします。無限の死滅という意味を持っている洞窟の名で、そこへ入ると絶望的なほど孤独を感じるのだそうです。
人間とは元来、孤独なんだと思い知らされると言った水島は「タッキリ・マカンは地中の子宮だ」と言いました。
タッキリ・マカンについて説明する水島を、十和子はうっとり見つめます。

帰宅が遅い十和子を心配し、陣治は姉の美鈴にまで連絡を入れていました。
帰宅した十和子を陣治は迎え、もつ鍋を作ったと言います。
姉の美鈴は心配し、次の日に十和子と陣治の家を訪ねました。姉に連絡を入れていたと知り十和子は腹を立てますが、美鈴は「黒崎と会っていたんじゃないでしょうね」と十和子を問い詰めます。
それを遮ったのは、陣治でした。
「それは絶対にないです」
断言する陣治に、美鈴は違和感を覚えました。
しかし十和子は気づきませんでした。怒って部屋に閉じこもります。

美鈴が帰り、陣治が出勤した後、十和子は携帯電話に登録したままの、黒崎の番号に電話してみました。電話したものの、怖くてワン切りしてしまいます。
その後、ソファで十和子は眠りました。眠りながら、まだ幸せだった頃の黒崎との夢にひたります。
帰宅した陣治はソファでうたたねする十和子を見ますが、「黒崎さん」という寝言を聞いて、聞かなかった振りをしました。十和子を外食に誘います。
上司に叱責されて、給料が減るかもしれないと告げる陣治は、その代わりに小説を書いて公募すると言いました。
帰りの電車に乗った陣治を、突き飛ばした形で男性が車両に入ります。
男性は陣治に謝るでもなく、横にいる十和子を見て笑顔を浮かべました。
それを見た陣治は、発車間際に男性をホームに押し出します。
(陣治の残虐性を表現している)

三宮警察署から、酒田という刑事が十和子を訪ねて来ました。
用件は「一昨日の午後5時頃に、ある番号へ電話をしなかったか」ということです。
十和子は肯定し、しかし黒崎とは8年前に別れたきり、会っていないと言いました。
酒田という刑事は、黒崎が5年前から失踪していると告げます。
十和子はそれを初めて知り、思わず動揺しました。
酒田刑事は、黒崎が仕事面で上手くいっていなかったことを指摘します。
その後、部屋を出た酒田刑事は、陣治とも会いました。身分を明かし、十和子の昔の知人のことで、訪ねてきたと告げます。

十和子は動揺しながらも、水島に会いにいきました。シチューを作る陣治が止めても、外出しようとします。
制止しても家を出ていこうとする十和子に、陣治は「あんまりなことしたら、恐ろしいこと起こるでぇ」と言いました。十和子は陣治を、恐ろしく感じます。
ホテルで身体を重ね、タクシーに乗った十和子は、陣治が自転車で尾行していたことに気づきました。
家に帰るのが恐ろしく、十和子は姉・美鈴の家に行きます。

美鈴に聞かれた十和子は、陣治に尾行されたと訴えました。浮気はしているけれども黒崎ではなく、別の男性だとも言います。
黒崎が5年前に失踪したと告げると、美鈴は妙に納得しました。
前に美鈴が十和子を問い詰めた時、陣治が「それは絶対にないです」と否定したことを挙げ、陣治はもっと以前から、黒崎の失踪のことを知っていたのではないかと指摘します。

そこへ陣治が十和子を迎えに、寿司を手土産に現れました。
美鈴の子どもたちの発言から、美鈴夫婦の仲が良好ではないことが明らかになります。美鈴の夫は会社の若い女性と浮気をし、どうやら別居しているようでした。
美鈴は陣治に「(黒崎の失踪を)知ってましたよね」とダイレクトに質問をぶつけますが、的確な答えは得られませんでした。
陣治は「相手が誰だろうが、どうでもいい。僕、聞きとうないんです」と、十和子が浮気をしていても受け入れる所存だと告げます。
陣治の車に乗り、十和子は自宅へ戻りました。

黒崎の妻・国枝カヨのところを訪問した十和子は、カヨが黒崎から十和子のことを聞かされていたと知ります。
刑事の言ったとおり、黒崎は5年前に失踪していました。しかしカヨはすでに妊娠しており、5歳になる娘・美咲がいます。

【転】- 彼女がその名を知らない鳥たちのあらすじ3

黒崎が失踪する前に異変がなかったかと十和子は聞きますが、刑事の言うとおり黒崎は金銭的に窮していたらしく、闇金から金を返せという電話などが日常茶飯事でした。心当たりは、山ほどあるようです。
カヨは、黒崎が死んだと確信していました。失踪の朝、黒崎の車がマンションの前に斜めに止められていたからです。
几帳面な黒崎ならば、絶対に斜めに止めない(誰か他者が止めた、あるいは斜めに停車せねばならない事情があった)…と言ったカヨは、「死んだことにして、私が区切りをつけたいだかもしれません」と漏らしました。

そこへカヨの伯父・国枝が顔を出しました。国枝は2年前に脳梗塞を患い、松葉杖をついています。
カヨは娘の美咲を英会話教室に連れて行きますが、十和子を国枝が引き留めました。
国枝は十和子に対し、「なんであの日、来んかった? お前は黒崎と一緒におった」と問いかけます。

…8年前、十和子は恋人の黒崎に、すがられていました。
「自分の将来は、国枝に握られている」
そう言った黒崎は十和子に頼み、国枝の夜の相手を務めさせます。
国枝のところから戻ってきた十和子に対して、黒崎は国枝の姪・カヨと結婚が決まっていると告げました。ついでのように、別れてくれと言います。
カヨに全部ぶちまけてやると十和子が言うと、逆上した黒崎は十和子を車から引きずり出し、足で蹴りました。
十和子はそのために、頬骨と肋骨にヒビが入るケガを負いました。
立ち去り際、黒崎は十和子との行為を映したDVDを渡し、裏切ればネット上に流すという警告をします…。

帰宅した十和子は、風呂場で血のついたシャツを洗っている陣治の後ろ姿を見て、デジャヴにとらわれます。
陣治は職場で、上司の佐藤に殴られたのだそうです。
「前にもこんなことあった?」と十和子は聞きますが、陣治は答えませんでした。
水島から電話があったので、十和子もすぐに忘れます。

水島は「自分の周囲で妙なことが起こる」と十和子に訴えました。
自宅の郵便受けに大人のオモチャが入っており、妻が浮気を疑っているのだそうです。
また仕事面でも、会社の顧客2千人分が入ったデータがなくなっており、水島はあせっていました。
水島は十和子の同居人の陣治を疑っており、調べてくれと十和子に頼みます。
それとともに「しばらく距離を置いて、いやがらせがやむか、様子を見たい」と言われ、十和子は嫌だと思います。

水島に会いたくて職場に行った十和子は、水島が会社の若い女性を誘って、楽しく過ごしているのを目撃しました。
自分のことは遠ざけておいて、別の女性と親しくしているのを見て、十和子は腹立たしく思います。
水島のデートを見張っている時、もらった時計と同じものを十和子は見つけました。その時計は3千円の中国製でした。
(孤独な十和子は軽んじられていた)
それでも水島会いたさに、女性と別れた後に姿を現した十和子に、水島は川のそばの暗がりで、口での性処理を頼みます。
(すでに水島の気持ちは離れており、性処理の道具としか見ていない)

陣治がまたもや、十和子を待ち伏せしていました。十和子は、自分と水島がうまくいかないのは陣治のせいだと思い、問い詰めます。
水島の自宅の郵便受けに大人のオモチャを入れたのは、陣治でした。本人が認めます。
しかし書類については、陣治は知りませんでした。
陣治は水島が妻子と仲良く外食していたことを指摘し、別れるつもりなどないと告げます。
それでも十和子が水島に執着していると知ると、陣治は「またえらいことになるで」と言いました。「また」という言葉に、十和子はひっかかります。
十和子は付き合い始めの頃、陣治がやたら黒崎のことを聞きたがったことを思い出し、陣治が黒崎を殺害したのではないかと疑いました。

陣治の自転車を奪って自宅へ戻った十和子は、陣治の部屋にある、小銭を大量に詰めた瓶の中身を開け、そこにダイヤのピアスを見つけました。そのことで、黒崎殺害は確信に変わります。
帰宅した陣治に黒崎のことを聞くと、「あの男は土に埋めた。河内長野(かわちながの)の宅地造成の土台工事の場所に埋めた。車はマンションの前に止めた」とあっさり答えました。
(黒崎の車を斜めに止めたのは陣治)
「これで憎まれるんは、俺も本望やでも、お前にだけは知られたくなかったんや」
その言葉の本当の意味を十和子が知るのは、もう少し先です。

翌日。
出勤する陣治を見送った十和子は、美鈴に「いろんなことにケリがつけそうやから、安心して。大阪を離れることになるかもしれへんから」と言います。陣治も一緒に行くと、姉に聞かれるまま答えます。
フルーツナイフを購入した十和子は、なんとか時間を捻出してくれと訴えて、水島と会う約束を取り付けました。

【結】- 彼女がその名を知らない鳥たちのあらすじ4

待ち合わせまでの時間を本屋で過ごした十和子は、本屋で『タクラマカン』という本を見つけます。
本をめくってみると、水島が言ったのと同じことが書かれていました。無限の死滅、地中の子宮…それらすべての言い回しが、本からの受け売りでした。
(水島は薄っぺらい男だった)

水島と公園で会った十和子は、ふとした会話から紛失したはずの書類が、すでに見つかっていることを知ります。
「紛失した」というのは水島の気のせいで、宣伝ハガキ担当の女子社員が持っていたそうです。
見つかっていたにも関わらず、なぜ言ってくれなかったのかと、十和子は水島を問い詰めました。
水島は謝罪するでもなく、時間が取れるからホテルに行こうと十和子を誘います。
腹を立てた十和子は、背後から水島をナイフで刺しました。
その瞬間、十和子の脳裏に大量の記憶がフラッシュバックします。
十和子を尾行していた陣治が駆け付けると、水島に対して「お前を刺したんは俺や。警察にそう言え」と告げて、追い払います。

…8年前、十和子は黒崎と別れました。その後、十和子は陣治と付き合います。
5年前、実は十和子は黒崎から呼び出しを受け、出かけていました。
金策に困った黒崎は、甘い言葉をかけます。
1千万円を調達するためには、国枝に十和子を提供するのがいいと考えた黒崎は、それを打ち明けました。
「一生大切にするよ。約束する」と、黒崎は十和子の耳に囁きます。
自分をまた利用しようとしていると知った十和子は、神戸のひとけのない駐車場で、黒崎を刺殺しました。その後、十和子は陣治に電話します。
陣治は仕事終わりに同僚と居酒屋で食事をしていましたが、十和子から電話がかかってくることが極めて稀であること、電話の十和子が尋常ではない様子であることから異変を察し、白い軽トラックで神戸まで駆け付けました。
黒崎の遺体を見つけた陣治は、呆然自失している十和子に代わり、遺体を埋めます。
自宅に連れ帰ると、十和子はことんと眠りました。
途中、血のついた作業着を洗っている時に起き出した十和子ですが、また眠ります。
(鼻血のついたシャツを洗う陣治を見た時にデジャヴを感じたのは、この時に見たから)
陣治はその後、黒崎の車をマンションまで置きにいきました…。

(陣治が「あんまりなことしたら、恐ろしいこと起こるでぇ」「またえらいことになるぞ」と言っていたのは、陣治がひどいことをするという意味ではなかった。
思い詰めた十和子自身が、恐ろしいことをしてしまうという意味だった)

十和子は起きた後、一切の記憶をなくしていました。
十和子の記憶がないと知った陣治は、それを利用して、隠匿を図っていました。

すべての記憶を思い出した十和子に対し、陣治は「お前は黒崎の霊に取り憑かれてたんや。黒崎の霊は、お前を破滅させようとしてたんや」と慰めます。
「これからは抱えて生きていけ。俺が助けるから」と、陣治は言葉を重ねました。
陣治は「十和子が思い出したこと(十和子の犯罪)、俺が全部持ってったるわ」と宣言し、十和子からダイヤのピアスを奪うと、遠くへ放ります。
「ええか、十和子。誰かと結婚してお前、俺を産んでくれ。俺をとことん可愛がってくれ」
「必ず入りにいくからな。そのために今、こうするんやからな」
そう言いながら高台の柵によじのぼった陣治は、見ている十和子の目の前で両手を広げ、仰向けに落ちていきます。

…それを見ながら十和子は、陣治とのなれそめを思い出していました。
8年前に黒崎にこっぴどく振られ、頭や腕に包帯を巻いた十和子は、事務員として働き始めます。
事務所に出入りしていた陣治が十和子にひとめぼれをし、以来、十和子に猛アタックを開始しました。
毎回会うたびに口説く陣治に、十和子は愛を証明しろと言います。
それを聞いた陣治は、自分と十和子が住むためのマンションを購入しました。
十和子に何かを要求することなく、黒崎のことを忘れられず無為に過ごす十和子を、陣治はただ見守り、慰め、励ましていました…。

仰向けに落ちて行き、十和子の目の前から陣治の姿が消えました。
その代わりに、飛び降りた下方から十和子の知らない鳥が飛んでいきます。
鳥たちは集まり、やがて群れとなってどこかへ去っていきました。
それを見ながら十和子は、「陣治、たったひとりの、私の恋人」と、遅ればせながら気付くのでした。

(十和子は絶望的なまでに、男を見る目がなかった。
そんな十和子をずっと支え続けていたのが、陣治。求めることなく、惜しみなく愛を与え続けていた。
陣治は死ぬことにより、水島への傷害事件の罪もかぶる。水島へ「警察で俺が刺したと言え」と言っていたことからも、明らか。
また十和子を受取人として、陣治は多額の生命保険金にも加入している。
最後にたったひとつ、陣治が十和子に唯一求めたことは「結婚して子どもを産め」。
精子がなく子どもを作れない自分に、長らく十和子を縛り付けていたことから解き放つ意味でもある。
自分が十和子の子どもとして、生まれ変わりたいという気持ちも、本音であろう)

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みんなの感想

ライターの感想

大筋でいうと、だいたい原作どおり。
本のほうではもうちょっと姉夫婦について書かれていたり、姉の夫の転勤話があったりするのだが、本筋と離れるのでカット。それもよし。
「スタート地点では、マイナス面ばかり目立つ陣治がラストではプラスに転じ、同じくスタート時にはよいのかなと思われる水島や黒崎が、実は蓋をあけると最悪な男だった」
この映画の「どんでん返し」のひとつに、読み始めと読み終わりとでは、人物の評価が全く入れ代わっているという鮮やかさにある。
そもそも主人公の十和子からして、ねちねちクレームをつける嫌な女。
ただ…原作を知らない場合は、唐突な展開、違和感、表現不足が目立つかもしれない。
原作では詳しく記述されているので違和感ないのだが、映画ではその表現不足が散見された。原作のほうオススメ。

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