映画:愚行録

「愚行録」のネタバレあらすじと結末、みんなの感想(4件)

愚行録の紹介:2017年2月18日公開の日本映画。第135回直木賞候補にもなった貫井徳郎の同名小説を、妻夫木聡主演で映画化したミステリアスな人間ドラマ。育児放棄をした女性を妹に持つ週刊誌記者の兄が、一家惨殺事件の真相を探る過程で、事件にかかわる人々の本性が明らかになっていく…。

あらすじ動画

愚行録の主な出演者

田中武志(妻夫木聡)、田中光子(満島ひかり)、田向浩樹(小出恵介)、宮村淳子(臼田あさ美)、稲村恵美(市川由衣)、夏原友季恵(松本若菜)、尾形孝之(中村倫也)、渡辺正人(眞島秀和)、橘美紗子(濱田マリ)、杉田茂夫(平田満)

愚行録のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①『週刊テラス』の記者・田中は約1年前に起きた田向家一家殺人事件の、後追い取材を願い出る。田中の妹・光子が育児放棄で逮捕されたと知る上司は容認。田向夫妻の関係者に聞き込みをかけることで、夫・浩樹、妻・友季恵の過去が浮き彫りに。 ②犯人は幼少期に父から性的虐待を受けていた田中の妹・光子、その可能性を指摘した宮村淳子は田中に殺害された。光子の娘は死ぬが、その父親は田中(兄)だった。

【起】– 愚行録のあらすじ1

愚行録のシーン1

画像引用元:YouTube / 愚行録トレーラー映像

〔田中武志の章〕

早朝のバスは混雑しており、乗客が多くいました。その中に、疲れた中年男性・田中武志もおり、座席に座っています。

立ったままの老女を見かねて、別の初老男性が田中に「席、譲ってあげなさいよ」と声をかけました。

田中は老女に席を譲りますが、左足を庇いバスの振動で転びます。

バス停で降りた田中は、左足をひきずっていました。

障害者に席を譲らせたと気付いた初老男性と老女は、田中を見て気まずい表情を浮かべます。

ところが…バスが立ち去るのを見計らって、田中は歩行を戻しました。田中は足が悪いわけではなく、そうやって席を譲るよう仕向けた相手に、意趣返しをしたかっただけなのです。

警視庁城北警察署。

拘留中の妹・光子に田中が面会に行くと、光子は喜びました。「半年ぶりくらい? あれ、痩せた?」と気さくに声をかけてきます。

弁護士の橘美紗子の立ち合いの下、田中と光子は面会していました。光子は「すぐに戻るから」と言います。

光子は3歳の娘・千尋(ちひろ)の育児放棄の疑いで、逮捕されていました。千尋は3歳児でありながら保護された時には1歳児並みの体重しかなく、極度の栄養失調にありました。

保護された千尋は現在もなお意識が戻らず、もし戻ったとしても脳に重い障害が残るそうです。

弁護士の美紗子は「起訴の可能性が高い」と言った上で、光子の精神鑑定を田中に切り出しました。

娘の千尋のことにしても自分の件にしても、光子はどこか「他人事(ひとごと)のように思っている」節があると、美紗子は感じていました。やってみるだけの価値はあると言います。

独居房で眠る光子に、無数の手が群がります(これ、後にも出てくる。その時に意味を説明する)。

田中は週刊誌『週刊テラス』の雑誌記者でした。

編集部の上司・丸山に、約1年前に起きた「田向(たこう)家一家殺害事件」の特集記事を書かせてくれと頼みます。

編集部の岩田は別の事件を取り上げろと言いますが、丸山は許可しました。

田中の妹が育児放棄で逮捕されたことを知る丸山は、岩田に「何かやってないと気が持たないのだろう」と言います。

〔田向家の章〕

田中はまず、事件のあった田向家に向かいました。

1年が経過しても、無人のその家はまだありました。両隣は空き地になっています。

今から11か月前、その家で一家3人が殺されるという事件がありました。

被害者は夫・田向浩樹(37歳)、妻・友季恵(旧姓・夏原)(36歳)と娘の3人で、現在もなお犯人は見つかっておりません。

1階で夫の遺体が、2階寝室で妻と娘の遺体が発見されました。

凶器は包丁で、遺体は何度も刺された痕があることから、動機は怨恨ではないかとの見込みがなされていますが、警察の捜査に進展はありません。

犯人は犯行後、シャワーを浴びて全身の血を落としてから、現場を後にしていました。

家の外観を撮影する田中を見て、近くを通りかかった中年女性が声をかけてきました。

「もう1年?」と言った中年女性は、事件を恐れて近所一帯が引っ越して行ったことを話します。

「あんな、感じのいい家族を殺すなんてねえ」と発言する女性は、田向一家とあまり親しそうではありませんでした。

〔渡辺正人の章…夫・浩樹の会社同僚〕

田中はまず、夫・浩樹の会社の同僚の、渡辺正人に話を聞きます。

正人と浩樹は同じ稲大でしたが、大学時代に交流はなく、入社試験の時からの付き合いだそうです。

浩樹は大手の不動産会社に勤務していました。

「この業界を受ける者は、デベロッパー(開発業者)を目指すんですよ」と答える正人は、入社後に浩樹が住宅販売、正人が営業にそれぞれ割り振られ、不満を持っていたと話します。

そうはいうものの大手の企業に勤務する正人には、多分に自負めいたところがありました。

渡した田中の名刺は、正人の飲むビールジョッキの下敷きになります。正人は気付きません。

(正人自身が、他者に無頓着な人間であることの暗示)

「あいつはいい奴だった」と話す正人は、過去にあった出来事を話しました。

どこも大なり小なりあるのかもしれませんが、女子社員を雇う際には「男性社員の結婚相手候補」ということを念頭に採用を決めているそうです。そのため、新入歓迎会は合コンの役目も果たしていました。

ある年、浩樹は新入女子社員・山本礼子と親しくなり、その日のうちに肉体関係を持ちます。

礼子は浩樹と交際する気まんまんですが、浩樹はそのつもりがありませんでした。関係を持っておきながら「(その日のうちに肉体関係を持つなんて、)やだよそんな軽い女」と、正人に言います。

そこで正人と浩樹は一計を案じました。

浩樹と礼子が会う約束をした店に、まず浩樹がドタキャンのメールを入れ、その直後に正人が偶然を装って入ります。

正人は「彼女と会う予定だったが、ドタキャンされた」と言い、礼子と一緒に飲みました。自分は彼女のことが好きなのに、相手はそう思ってなさそうだと気持ちの熱量の差について話します。

礼子は同感に思い、意気投合しました。店の外でキスします。

2~3回会った後に、正人と礼子は肉体関係を持ち、既成事実を作りました。礼子の気持ちはすっかり正人の方に傾きます。

その上で、礼子の思い人が浩樹だったと初めて知ったかのように振る舞い、礼子が黙っていたのが悪いかのように言います。

「浩樹とぎくしゃくしたくないから。正直、顔見るのもきついねん」と礼子に告げます。

こうして正人も浩樹も礼子と別れました。浩樹は正人との飲みの席で、おごります。

…女子が聞いたらドン引きでしょうねと言いながら、正人はまんざらでもない顔をしていました。

礼子は2年ほど後に、年次が1つ下の男性と結婚して寿退社したため、浩樹を殺害するほどの恨みは持っていないと田中に話します。

そう話した後、浩樹のことを思い出したのか、正人は泣き始めました。

(注:「浩樹はいい奴」というのは正人にとってのもので、女性からみると違ったものかもしれない。それが窺い知れるエピソードであり、後の話でも浩樹の身勝手さが出てくる)

〔田中光子の章…雑誌記者・田中の妹〕

初老の精神科医・杉田茂夫は、娘の育児放棄をした田中光子の精神鑑定を行ないます。

光子は杉田医師の机の上にある小さなおもちゃに興味を示すと、「小さい頃はこんなおもちゃを買ってもらうことはなかった」と言いました。

光子は生まれ育った環境について「いつもお腹を空かせてた」と答えます。母・孝子は料理を作ってくれず、ご飯を作ってくれるのは兄だったそうです。

「お兄ちゃんがいなければ、私、生きてないかも」と言って、光子は笑いました。

「もし人生をやりなおしたとしても、私はお兄ちゃんの妹でいたい」と光子は言います。

杉田医師は、育児放棄した光子の育った環境にも、やはり問題があると感じました。

しかしこれ以降、回を重ねるごとに、別の新たな事実が発覚します。

次のページで起承転結の「承」を見る

次のページへ
1 2 3 4

みんなの感想(4件)

ライターの感想

救いがないラスト、見終わった後のなんとも厭な感じ…。
勝手ながら、章立てをさせていただいた。映画には章はない。ご容赦を。
原作との違い。原作では田向夫妻には2人の子がいた(息子もいる)。
原作では、田中は確たる意思を持って取材対象に当たり、光子が犯人だと疑う者を殺害している(映画ではぼやーっとしか描かれない)。
原作では「人間は愚か」ということをラストで光子が言うのだが、映画では劇の中盤にて夫・浩樹と関係のあった女性・恵美が発する。
…のっけから、障害者の振りをしてバスを降りる田中。ここからガツンと「悪意」にやられてしまう。
さらには恵美が「似て来たと思いません?」この発言、怖い~~。浩樹と関係が続いていたことを示唆。
話が動き始めるのは中盤以降。なのでぼうっとしていると「あれ? え? ちょっと待って」になる。
特に文應大に光子がいたというのが、けっこう衝撃的だった(パーティーの席)。
映画では田中と光子の関係の深さがどの程度なのかが判らず、そこがもやもや。でも間違いなく、あと味の悪い良品。
  • kumiko loveさんの感想

    終わり方が?になる、エーーーな感じです

  • KOD7さんの感想

    なんとも後味の悪い話。
    題材からすでに「後味が良いわけがない」というのは見ればわかるのですが、本当にまったく救いがない気がします。
    冒頭からあまり良い雰囲気はないですけど…。
    映画版では少し分かりづらい部分もありましたが、どっちにしろモヤモヤした気持ちになるストーリーです。
    悪意というか、人間の悪い部分をたくさん見たような気持ちになる映画です。

  • Ankoさんの感想

    良心のある人はいませんか…。と呟かずにはいられない。
    でもどこかで悪意に共感してしまう。
    細かいところだけど、妻夫木演じる武志がバスで「立て」と怒られた後に足をひきずって障害があるふりをする、そうして自分を注意した人間に罪悪感と周りからの反感を感じさせるようにする。
    その仕草の意図が理解できる自分自身にも悪意があることを思い出させられる。

    光子の独白シーンが素晴らしかった。
    絶妙な声、仕草、彼女にしかできないお芝居だと思った。

    武志と光子の会話の意味に気づいた時、吐き気がした。
    原作は読んでないんだけど、心をザラッとさせる良作だった。

映画の感想を投稿する

映画「愚行録」の商品はこちら

IMAGE

愚行録 [DVD]

DVD > 日本のドラマ映画
バンダイビジュアル
妻夫木聡(出演),満島ひかり(出演),小出恵介(出演),臼田あさ美(出演),市川由衣(出演),松本若菜(出演),中村倫也(出演),…

¥1,843
Amazonで見る
価格・情報の取得:2020-06-20