「模倣犯(2002年)宮部みゆき」のネタバレあらすじと結末の感想

模倣犯(2002年)の紹介:2002年公開の日本映画。直木賞作家・宮部みゆきのベストセラー・ミステリーを映画化。メディアを巻き込む冷酷な犯罪を行う異常犯たちと、被害者遺族たちとの闘いを描く異色の犯罪ドラマ。

模倣犯(2002年)宮部みゆきの主な出演者

網川浩一〔ピース〕(中居正広)、有馬義男(山崎努)、高井和明(藤井隆)、栗橋浩美(津田寛治)、前畑滋子(木村佳乃)、塚田真一(田口淳之介)、前畑昭二(寺脇康文)、古川鞠子(伊東美咲)、高井由美子(藤田陽子)、岸田明美(小池栄子)、武上悦郎(平泉成)、木島アナウンサー(城戸真亜子)、篠崎刑事(モロ師岡)、田川一義(村井克行)、角田真弓(角田ともみ)、古川真智子(中村久美)、古川茂(小木茂光)、栗橋寿美子(由紀さおり)、峠の車の男(太田光、田中裕二)

模倣犯(2002年)宮部みゆきのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①東京都台東区大川公園で女性の片腕とショルダーバッグが発見される。事件直後「腕とバッグは別人のもの。バッグは古川鞠子のもの」と犯人を名乗る男がテレビ局に電話をかけてきて、世間は注目。その後も犯人はテレビに電話をし、殺人ライブ中継をすると予告。殺人ライブの時に崖から転落した高井和明と栗橋浩美が乗る車のトランクに前畑昭二の遺体があったことで、犯人は高井栗橋と思われる。 ②高井の妹をかばい、高井は犯人ではないと主張する網川浩一(ピース)がマスコミに出てくる。鞠子の祖父・有馬や昭二の妻・滋子らはテレビ番組内で「模倣犯」という言葉で網川の自尊心を挑発し、自白を引き出した。網川は自殺、有馬に赤ん坊が託された。

【起】- 模倣犯(2002年)宮部みゆきのあらすじ1

1997年、東京都。
その日は2月なのに、春のような暖かい風が吹いていました。
下町で豆腐店を営む初老男性・有馬義男のところには、娘の真智子が戻ってきていました。夫の古川茂が愛人を作って家に戻らなくなり、それで孫娘の鞠子を連れて下町に戻ってきていたのです。
孫娘とはいいますが、鞠子は立派に成人し、就職しています。
夫とのことが関係してか、真智子は情緒不安定になっていました。孫娘の鞠子は、落ち込んでいる母に代わって、積極的に有馬の家の手伝いを買って出る、できた娘でした。

ある日、鞠子が帰ってこないと、母の真智子が心配します。
有馬は「そんなことだってあるさ」と返しましたが、真智子がいうには午後8時に「これから帰る」という電話をもらったそうです。
午前3時になっても帰宅しないので、母・真智子は「警察に行ってください」と有馬に言います。
その後、有馬は警察に行き、行方不明者届を出しました。

…10カ月後。12月。
ロッキーという名の犬を散歩させている少年・塚田真一が、犬が鳴くので大川公園の植え込みに注目し、何かを発見します。
その後、警察の報道により、東京都台東区にある大川公園で、切断された女性の片腕とショルダーバッグが発見されたと報じられました。
片腕とショルダーバッグは、共に銀色の保冷シートのようなものに包まれて、公園内のイベント広場にある花壇に置かれていました。

当初マスコミが注目したのは、第一発見者の塚田真一です。
真一は、家族が惨殺された佐和市教師一家殺人事件の、唯一の生き残りでした。
またもや注目が集まり、真一は以前の事件当時に面識があり、取材も受けたルポライターの女性・前畑滋子の家に身を寄せることにします。
滋子は夫・昭二との間に子どもがなく、夫の昭二も真一を歓迎しました。
夫の昭二は畳店を経営しています。滋子は夫へ腕時計をプレゼントしました。

テレビの生放送中に、木島アナウンサー宛にボイスチェンジャーで犯人を名乗る人物から電話がありました。
ボイスチェンジャーで声をかえた電話の主は、自分が犯人であると告げ、大川公園のバラバラ事件の片腕とショルダーバッグは別の人物のものだと言います。
ショルダーバッグは、古川鞠子という女性のものだとも告げますが、腕は別の女性のものとのことです。
後に警視庁で会議を開いた際、テレビ局にかかった電話は他のイタズラ電話と区別させるためにキーナンバーを告げ、それは本庁のパソコンのシリアルナンバーと一致したそうです。
ボイスチェンジャーは市販の従来のタイプのものではなく、リアルタイムにデジタルで声を操作しているものでした。

さらに犯人は新聞社各紙に、拉致した女性たちの写真を送りつけます。写真は女性を手錠で拘束した、センセーショナルなものばかりです。
そして、この写真を公開すれば、さらに新たな情報を与えると、添えた手紙に記していました。

同じ頃、有馬の家に犯人から電話がかかります。
「孫のことだけ心配しているのは、社会性に欠ける」と犯人は有馬に告げ、新たな手がかりを与えるとして、有馬を横浜のベイシェラトンホテルに呼びつけます。
午後7時、決められた時間にフロントへ行った有馬は、さらに「このホテルのバー『ベイ・ビュー』で待て」というメッセージを受け取り、バーに移動しました。
その店に、有馬宛に電話がかかってきます。
電話を取ると犯人からで、「家の郵便物に入れておいた」という内容でした。
帰宅した有馬が郵便箱を開けると、鞠子の腕時計が入った封筒が入っていました。
見つかったショルダーバッグで、鞠子が被害に遭遇したということは分かっていましたが、腕時計を見た有馬は、初めて鞠子が犠牲に遭ったのだと実感します。

テレビ局のワイドショーの放送中に、犯人と名乗る者から電話がかかります。
この場所がヒントだとし、「山の絵」「ガスタンクの写真」「消火栓の写真」が表示されました。テレビ局はその写真を流し、ボイスチェンジャーの声の犯人は「警察よりも先に、見ている人が見つけるかも」と挑発します。
横浜市川崎区千鳥町のガスタンクそばの、消火栓の下に、銀色の保冷シートに包まれた被害者の身体の一部が見つかりました。
犯人はそれこそが、古川鞠子の遺体だと、放送の最中に断言します。
犯人は英語で話したりもして、教養があるところを見せつけました。
犯人が積極的に出てくることで、大衆は事件に引き込まれます。次に何が起こるのかと、楽しみに待ちわびていました。

古川鞠子は被害者としてマスコミににわかに注目され、有馬豆腐店にもマスコミ陣が殺到しました。
有馬は店を臨時休業し、娘の真智子を見舞います。
真智子は夫が家を出て行ったことと、娘の鞠子の失踪で、心を病んで入院していました。
有馬は鞠子の筆跡をまねて絵葉書を作り、真智子に見せます。
鞠子は好きな人と外国へ旅立ったというストーリーを作り、真智子の心労を和らげようとしていました。病室では決して、テレビをつけません。
真智子の夫・茂が病院へやってきて、愛人との間に子どもができたので早く離婚したいと有馬に訴えますが、その勝手な言い分に有馬は怒りました。

警視庁ではその頃、容疑者として田川一義(かずよし)という男が浮上していました。
大川公園、千鳥2つの現場にシールが貼られており、田川はシールマニアでした。
田川は写真やコンピュータにも精通しており、さらに現場にいた写真も撮られています。
あるテレビ局が「警視庁が田川を重要参考人と目している」と気付き、田川をテレビ番組に出演させました。田川もまんざらでもない風で、テレビ番組に出演します。

【承】- 模倣犯(2002年)宮部みゆきのあらすじ2

プライバシー配慮として「Tさん」と名を伏せ、スリガラス越しに出ているその番組の最中に、犯人から電話がかかってきました。
犯人は田川を挑発し、生番組の最中に田川をスリガラスから出させます。
局は急いでCMを挟んだのですが、それに気を悪くした犯人は電話を切りました。
再び電話をかけた犯人は、次には殺人現場をライブストリーミングすると宣言し、ハイパーTVのCS経由で、テレビでも見られるようにすると言います。
携帯電話のサイト提供はCDフォンだけと謳い、その代わりCDフォンは売り上げの5%をユニセフに寄付しろと言いました。
犯罪現場の生中継が見られるということで、CDフォンの売り上げがアップします。

前畑滋子の夫・昭二が、別荘にある畳を張りかえる仕事が入ったと、出張しました。滋子と、身を寄せている第一発見者の青年・塚田真一は見送ります。

12月24日午後8時。
犯人がライブ中継を宣言した時間になりました。
ある男性2人が山梨県の山中の車道を運転しつつ、そろそろ時間だと言ってCDフォンを見ようとします。
その時、男性2人の前の車が蛇行運転をし、目の前で車ごと崖から転落するという事故が起きました。
(ライブ中継では、女性が襲われる映像が流れる)

先の事故は、山梨県のグリーンロードで、1台の乗用車がガードレールを突き破って崖下に転落、炎上するという事故でした。
車を引き揚げると、トランクには前畑昭二の遺体が発見され、車に乗っていた栗橋浩美(ひろみ 注:男性)と高井和明がなんらかの関連があるとみられますが、両者ともに死亡していました。
後日、栗橋の初台のマンションから、事件に関与する女性の写真が発見され、それがテレビ番組で流れたものと一致します。
このことにより、一連の女性バラバラ殺人事件の容疑者は、死亡した栗橋浩美と高井和明の2人だとする見方が強まりました…。


…2年前。
高井和明と妹・由美子は、そば屋『長寿庵』を開店したばかりでした。そこへ祝いの胡蝶蘭を片手に、赤いスポーツカーに乗った栗橋浩美が訪ねてきます。
店を開いたのは高井ですが、その高井はせびられて栗橋に金を渡しました。そういう力関係なのです。
スポーツカーには助手席に、栗橋の恋人の女性・岸田明美が乗っていました。
明美は車中で、昼間に見た由美子のことを執拗に話題にするので、怒ります。
衝動的に明美の頭を窓ガラスにぶつけ、殺しました。
こんなくだらないことで人生を棒に振りたくないと思った栗橋は、自分が唯一有能だと認めるピースを呼び出します。

後日、沖縄にて。
すでに遺体を処理したピースこと網川浩一は、栗橋が運転する車の助手席に収まっていました。
証拠を隠滅した後、さらに明美の筆跡をまねて手紙を両親に書きます。
こうしておけば、明美がいなくなったところで、すぐに両親が動きそうにない…と、ピースはフォローもぬかりなく行なっていました。
沖縄のホテルの前で、栗橋はゆきずりの女性をナンパします。女性が断ると「10円くれよ」と言い、もらった10円玉を舌の上に乗せました。

高井、栗橋は生まれも育ちも近所の、幼馴染みの同級生です。
高井は幼い頃から善良で、栗橋は優秀でした…ピースが来るまでは。
中学時代に栗橋と高井の中学校に、ピースが転校してきました。
ピースは自分の名前を書いた後、ニコちゃんマークを描いてピースサインを作ったことで、みんなから「ピース」と呼ばれるようになります。
ピースは優秀なうえに、たちまち人望を得ました。ピースがやってきたことで、栗橋はナンバーツーの座に落ちます。
しかし栗橋がピースを憎まなかったのは、「ピースが栗橋を対等に扱い、時には尊重した」からでした。これにより栗橋の自尊心が保たれ、自分とピースは同レベルだと思えたのです。

沖縄から東京へ移動したピースと栗橋は、鞠子を拉致しました。
鞠子はその後、「私を殺しても構わないから、私がどこへ行こうとしていたかの情報だけは、消してほしい。おじいちゃんには知らせないで」と言います。
(注:映画では鞠子が隠したがった内容について、言及されないまま終わる)

群馬県、氷川高原。
ピースは親の遺産により、氷川高原に別荘を所持していました。
ピースと栗橋は女性を拉致すると、別荘に多数監禁していました。女性の首に鎖をつけ、動物のように飼育しています。食料は犬にやるように、餌皿に盛り付けていました。
自分たちは食卓で肉を切り分けて口に運びながら、ピースと栗橋は犯罪について相談します。
ピースは、栗橋の方が外国語に秀でており、話術も巧みだと褒めて、広報担当になってくれと言いました。栗橋は自尊心をくすぐられ、了解します。
いっぽうでピースは女性たちに、ちっぽけな存在でいるよりも、殺されて被害者になることで、全国的に有名になった方がすばらしいと訴えます。
被害者女性たちが、それに納得したかは分かりません。

殺人のショーを盛り上げるためとして、ピースと栗橋は下見をしました。
鞠子の祖父・有馬のいる店の前を歩き、有馬をさりげなく観察します。
また容疑者として田川を、第一発見者として塚田真一を選びました。
そして深夜に別荘の庭で穴を掘りながら、「ショータイムの始まりだ」とピースは言います。

その直後から、事件は始まりました。大川公園で片腕とバッグが見つかります。
栗橋はその報道を、実家の美容室で見ていました。母が「被害者はろくな女じゃないわよ」と言うのを聞きながら、ろくな女じゃないのは母だろうと独り言をつぶやきます。

【転】- 模倣犯(2002年)宮部みゆきのあらすじ3

以後、栗橋とピースはテレビ局に電話したり、有馬のところへ電話をしたりします。
重要参考人の田川がテレビに出た時に挑発したのは、栗橋でした。
しかし田川が出た時にCMに切り替えられたため、栗橋は怒ってトイレに立ちます。
直後にテレビ局にもう一度電話をし、殺人現場のライブストリーミングを持ちかけたのは、ピースでした。

有馬は、何度か犯人から電話を受けるたびに、あることに気付きました。「お前ら」と表現します。犯人が2人組だと気付いたのです。
その時に話をしていたのは、ピースでした。有馬は「女性しか殺せない」とピースを挑発し、ピースは「男を殺したらじいさんのせいだ」と言い返します。

同じ頃。
連続殺人の新聞記事を、高井は収集していました。執拗に追いかけ、自分の幼馴染みの栗橋が関わっているのではないかと、思うようになります。
ある日、栗橋の初台のマンションに押しかけた高井は、その疑問をぶつけました。
高井を利用しようと考えた栗橋は、「ある奴に脅されているんだ」と高井に言います。
いっぽうでピースに高井のことを話し、犯人として仕立て上げようと告げました。

ピースはルポライターの前畑滋子の夫・昭二を、畳の張り替えの注文を頼む振りをして、氷川高原別荘に呼びます。
滋子の話を持ち出して、腕時計が妻からのプレゼントだと知りました。その後、殺害します。
ピースは栗橋に命じて高井を呼び出して、計画を話しました。
高井を別荘に招き入れ、昭二の衣類や所持品に指紋を付けさせ、昭二の死体をレンタカーのトランクに積み、あすかの森で排気口からガスを引き込み自殺する…という筋書きを栗橋に話し、遺書はピースが作ると言います。

栗橋は駅前の喫茶店で時間をつぶし、高井を氷川高原駅に呼び出しました。
2人はそのまま、ピースの待つ別荘へ移動します。
高井はピースと久しぶりに会い、喜びました。3人で食卓を囲みます。
野球選手の物真似をしてくれと言われた高井は、バットを持って何人かの物真似をしました。
そこへバットを持ったピースが現れます。
高井はとっさに、栗橋をかばいました。ピースが栗橋を脅しているのだと、高井は思っていたからです。
高井は睡眠薬を飲むよう強制され、そのまま眠りこみます。

その間に栗橋とピースは、トランクに昭二の遺体を運びました。ピースは、8時にニセのライブを流すと言います。
栗橋がハンドルを握り、後部座席に眠っている高井を乗せました。あすかの森で最後の仕上げをするのは、栗橋の予定です。
高井は睡眠薬を歯ぐきの間に入れて、眠らないようにしていました。後部座席から高井が起き出したので、栗橋は驚きます。
しかし、すでに2人はピースの術中に嵌まっていました。
ブレーキとハンドルを細工されており、栗橋と高井はそのまま交通事故で死亡します…。

(事件の犯人はピースと栗橋だった。有馬に2人組と露見したピースは、自分の代わりに高井を利用した)


…再び現在。
警視庁の捜査会議では、氷川高原駅前の喫茶店のウエイトレスが、栗橋と高井が一緒の車に乗る目撃証言を得たことで、容疑者であると目していました。
但しまだアジトとなる別荘が分かっておらず、これからローラー作戦で別荘を絞り込もうとしています。
(犯人とは断定していない)

夫・前畑昭二が殺害されたことにより、いままでルポライターとして取材していた滋子は、取材される側に回ります。
容赦ない取材攻勢に遭った滋子に負担をかけまいと、真一は家を出ていきました。置き手紙をし、連絡先が分かり次第知らせると書いています。
真一はその後、亀有駅前で有馬と会い、有馬の家に身を寄せることになります。
有馬は、犯人がどうして人を殺すようになったのかを、事件以降、ずっと考えていました。
犯人がどんな家庭で、どんな両親で、どんなふうに育ったかを、熟考しているのです。

滋子は出入りしている出版社の編集長に、騒動が落ち着いたら手記でも書けと言われました。
滋子はとても、そんな気分になれません。自分がルポライターをしていたせいで、夫の昭二が被害に遭った可能性が濃厚だからです。
滋子はもう書けないと思っていました。

加害者側として取材に辟易した高井の妹・由美子を、ピースは助けます。
都内にホテルを取り、騒動が落ち着くまでそこにいるように告げます。
兄が犯人ではないと主張する妹・由美子に、ピースは賛同しました。そして自分が代弁してやると言います。
ピースは経営コンサルタントと称してテレビ番組に出て、高井の無実を主張し始めました。
弁が立つために、マスコミもピースの発言を重視し、次第にとりこになっていきます。

世の中がピースで取りざたされているのを、有馬は冷静に見ていました。
住み込みで雇った真一に仕事を教えながら、自分は以前にピースを見たことがあると思います。
そして、はるか以前に店の前を、ピースと栗橋が歩いていた…そんなことを思い出しました。
真一から知らせを受け、滋子が会いに来ました。真一が「ピースを調べたら」とアドバイスし、有馬も滋子に頼みます。
しかし滋子は「もう疲れた」と弱音を吐きました。真一が「僕の時は、疲れてなかったの?」と言ったことで、滋子は虚を突かれます。
自分が被害者側になったからといって、それがルポライターの筆を折っていい理由にはならないと思った滋子は、気持ちを切り替えました。
その日から滋子は、栗橋、高井、ピースの過去を調べ始めます。

【結】- 模倣犯(2002年)宮部みゆきのあらすじ4

警察サイドも綿密な捜査を進めていました。ピースについて調べ上げています。
ピースこと網川浩一は、千葉県市川市で網川啓介と聖美(きよみ)の第一子として誕生しましたが、誕生後1年で両親は離婚し、その後、聖美は世田谷区在住の天谷英雄(あまたに ひでお)の養女となり、天谷姓になっていました。
これは…聖美は天谷の愛人だったことを、意味します。その後、天谷の死亡により、聖美は氷川高原の別荘を相続していました。
聖美が天谷の愛人だったとすると、ピースが啓介、天谷のどちらの子か分からず、生まれた時から居場所のない、どこにいても誰かの邪魔になる存在だったことを示唆します。

滋子も同じ事実に行きあたり、氷川別荘を見に行きました。
そこで警視庁の捜査隊とかちあい、「警察に任せてくれないか」と言われます…。

滋子は滋子が取れる方法で、真相を暴こうと決意しました。ピースと同じ番組に立てるよう、テレビ局に交渉し、実現します。
その番組で滋子はある本を示しました。
それは10年前にアメリカで出版されたノンフィクションの本とし、著者は元ニューヨークタイムズの記者で、実際の犯罪を元に、多くのノンフィクションを書いているライターだと言います。
その原書では、「最初に犯人と思われていた人物が死亡した後で、『彼は殺人者ではない、無実だ』と主張する人物が出てくる。その意見には非常に説得力があり、州警察も再調査に乗り出すのだが、その男こそが真犯人だった」と、滋子は告げました。
強力な物証が出てきて追いつめられた犯人は、動機を聞かれて「だって面白かったからさ。正義の振りをして、みんなの注目を浴びるのが愉快だったからだ」と言ったそうです。
そう告げた後、滋子は「今回の事件は、完全にこれをまねた『模倣犯』です」と断言しました。
滋子の発言にプライドを触発されたピースは、否定します。
「これは模倣犯なんかじゃない。世界で初めての殺人ですよ。この事件は僕のオリジナルです」
ピースが自白した瞬間でした。
(これがタイトル『模倣犯』の意味。この言葉がピースの自白を引き出すキーワード)

有馬からの電話が入ったと、テレビ局の中継に入ります。有馬は同じスタジオの片隅から、電話をしていました。
有馬はピースに、みんな自分の能力のかぎり精一杯生きているのに、そんなささやかな人生をもてあそぶのが楽しいのかと告げます。
どんな方法を取ったとしても、世間はすぐに忘れる、それよりも感動させる何かをなしとげたほうが、よほど人の心に残っただろう…そう告げた有馬は、「お前には、そのことを教えてくれる大人がいなかった」と言いました。
ピースはスタジオの隅に、有馬がいることに気付きます。
スタジオの外に、警察もスタンバイしていました。

有馬の言葉すら、ピースの胸には届きませんでした。
ピースはカメラにピースサインをした後、テレビの前で自爆(自死)します。
飛散したなかに、滋子の夫の時計がありました。滋子はそれを見て泣きます。

…後日。
氷川高原の別荘からは、多数の女性の遺体と、ピースの母親と思しき遺体が発見されたと、ニュースで報道されています。
(ピースと栗橋が庭に穴を掘るシーンがあったので、そこから発見されたのではないか)
その後の捜査により、高井はむしろ被害者であると証明されました。
ピースこと網川浩一と、栗橋浩美の2人組が犯人と断定され、事件の解決が取りざたされます。

そのテレビを見ながら、「解決なんかしていない」と有馬は毒づきます。
「でも、終わらせてください。そうしないと、何も始まらない」と有馬に言ったのは、一家を惨殺された真一でした。
真一の気持ちが分かり、有馬は「悪かった」と詫びて真一を抱きしめます。
滋子は、なぜこんなことが起きたのか、再検証を続けています。

有馬豆腐店に、バイク便がやってきました。小さな箱が届けられます。
中には手紙が入っており、ピースからでした。
ピースはテレビ番組内で自殺を図ることも計算に入れており、有馬に頼みごとをします。
それは、大川公園に自分の子を置いたので、引き取って育ててくれというものでした。
手紙を読んだ有馬は真一と共に、すぐに大川公園に行きます。
そこにはキャリーボックスがあり、中には赤ん坊が入っていました。
「血よりも環境が大事だということを、証明してください」ということばで、ピースの手紙はしめくくられていました。
赤ん坊を抱き上げた有馬は、空を見上げます。真一は有馬に、ゆっくりと近づきます。

(途中に書いたが、鞠子が祖父に隠そうとしたものは分からないまま。
敢えて考えるとするならば、「鞠子は不倫していた」というもの。
詳細を割愛したが、鞠子失踪時の回想シーンで、鞠子は母親に帰宅するという電話をした後、何者かからの電話を受け、タクシーに乗り込もうとしていた。
タクシーが事故に遭い、降ろされた鞠子は、ピースと栗橋に拉致されたのだが、不倫相手に会いに行こうとしていたのではないか。
父が愛人を作り、母がそのために弱っていることを鑑みて、そのうえで自分までもが不倫をしているということを、隠したかったのではないかと思う)
(さらにラストシーン。
原作では数カ月だったものが、映画では「10カ月」と設定されていることから考えて、赤ん坊は「ピースと鞠子の子」ではないかと思う。
そう考えれば、ピースが有馬に託す理由も納得できる。
いずれにせよ、原作とはかなり乖離した作品)

みんなの感想

ライターの感想

原作を知る者からすると「非常に残念な作品」。
大筋では合っているものの、ところどころが省かれたせいで、せっかくの宮部みゆき作品が台無しになった感じがする。
むしろ、原作とは別物と切り離したほうが、楽しめるかもしれない。
時間も2時間に短縮された関係で、なぜピースと栗橋が犯行に至ったのかという細部にまで、入りこめない展開。
スタジオ内でピースが自殺するシーンは、笑いでも取りたいのかと思ってしまった。
(原作ではピースはスタジオ内にたてこもり、逮捕されないようにする。ここに私は初めてピースの「人間らしさ」を見ただけに、映画の演出はいただけなかった)

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