映画:汚れたミルク/あるセールスマンの告白

「汚れたミルク/あるセールスマンの告白」のネタバレあらすじと結末

汚れたミルク/あるセールスマンの告白の紹介:2014年のインド・フランス・イギリスの合作で、日本公開は2017年。パキスタンで実際に起きた事件を『鉄くず拾いの物語』などの社会派作品を手掛けてきたダニス・タノヴィッチ監督が映像化。とある大手国際企業が強引に売り出した粉ミルクを、不衛生な水で溶かして飲んだ乳幼児が次々に死亡した。販売員だったアヤンは子供たちの命を救うために、世界最大の企業を訴えるのだが…。

あらすじ動画

汚れたミルク/あるセールスマンの告白の主な出演者

アヤン(イムラン・ハシュミ)、ザイナブ(ギータンジャ)、アレックス(ダニー・ヒューストン)、ナディーム(カーリド・アブダッラー) 、ビラル(アディル・フセイン)、ファイズ(サティーヤディーブ・ミシュラ)

汚れたミルク/あるセールスマンの告白のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 汚れたミルク/あるセールスマンの告白のあらすじ1

2006年ロンドン、映画プロデューサーのオフィス。
過去に起きた大手企業の粉ミルク事件の映画化を検討している製作陣は、当事者である元社員のアヤンに話を聞くため、カナダにいる彼とビデオ通話をしました。「事件を知るためには、僕の人生を知らずに事実は理解できない」と、アヤンはこれまでの経緯を語り始めます。

1994年、パキスタン。
アヤンは国産の製薬会社の営業マンとして働いていました。時代が進むにつれ、医師は多国籍企業の製品を求めるようになり、売上は下がる一方です。アヤンは美人なザイナブを妻に迎え入れますが、貧しさゆえ2人暮らしはできず、親と同居していました。
ある日ザイナブが、多国籍企業のラスタ社が営業職を募集しているという記事を見つけ、アヤンに紹介します。しかし応募条件は大卒でした。父が政府に仕事を奪われて失職した際、大学を中退して働き始めたアヤンでは応募すら叶いません。しかしザイナブの強い希望で、アヤンは挑戦してみることに。もし多国籍企業に採用となれば、一大センセーション。親族らもスーツや靴の提供など、面接のために手を貸してくれました。

僅かな採用者に対し、応募者は大勢いました。面接会場に現れた採用担当者は、情熱に溢れた様子で「お前たちはトラだ。私をタイガー様と呼べ。トラのようにうなれ」と異様な指導で応募者を駆り立てます。その後個別面接を受けたアヤンは、初耳の医師を知人だと嘘をついたことを見抜かれ、未経験者と見なされ不採用となります。ところが諦めきれないアヤンは、会社幹部のビラルに「僕を採用しないと馬鹿野郎だ」とすごみ、その勢いを買われ採用を勝ち取りました。

【承】- 汚れたミルク/あるセールスマンの告白のあらすじ2

ラスタ社の営業職に就いたアヤンは、備蓄倉庫に大量に置かれた商品数に圧倒されます。しかし一番驚いたのは、医療従事者に粗品と賄賂をばら撒くように指示されたことでした。さらに医師にもランク付けし、低ランクの医師は相手にするなと、正論の如くビラルが司令を出します。アヤンは戸惑いながらも家族を養うため、ザイナブとの新居を構えるためにやる気に満ち溢れました。
アヤンはラスタ社の戦法で、医療関係者の好みを調査し、次第に名を売っていきます。若い小児科医ファイズとは、個人的にも親しくなりました。

ある時アヤンは年配医師サリームから、小児科医が集うパーティ費用の工面を依頼されて引受け、当日会場にはラスタ社の看板を掲げました。パーティには人権支援組織『hub』職員のマギーという女性も来ており、スポンサーがいるならば来なければよかったとアヤンは嫌味を投げかけられます。それでもアヤンはサリームから、陸軍病院長のマリク大佐を紹介されたことで、この日は大満足でした。また、パーティに来ていたファイズは公衆衛生学の修士を取得するため、カラチ(パキスタン最大の都市)に行くと言い、しばし別れることになりました。
アヤンは人当たりの良さもあって、医師からの評判がうなぎ上りです。更に営業成績を上げるようにと、ビラルから営業用バイクも与えられました。

2年後。アヤンはすっかり敏腕営業マンとなり、粉ミルクも国内全土に広まっていました。アヤンは子供にも恵まれ、ザイナブは第二子も妊娠中。アヤンは念願の新居も構え、まさに公私共に充実した日々を送っていました。
ある時アヤンは、既に帰国していたファイズと再会しますが、彼は深刻な面持ちでした。なぜならラスタ社の粉ミルクを飲んだ乳児が次々と衰弱していたからです。彼らは決まって貧しい家庭の子で、母乳で育った兄弟はみな元気でした。母乳と違い粉ミルクでは免疫は得られません。清潔な水が手に入らない家庭では、不衛生な水で粉ミルクを溶かしたことで乳児が下痢を起こし、最悪の場合死に至るのです。ファイズもカラチでこの現実を初めて知りました。衝撃を受けたアヤンはスラム街に足を運び、ファイズの証言そのものの事実に愕然とします。

【転】- 汚れたミルク/あるセールスマンの告白のあらすじ3

それから数日後。粉ミルクを禁止すると死亡例が無くなったとファイズから聞いたアヤンは、即座に会社を辞めました。しかし一筋縄では行かないわけで、ビラルが追って来ます。驚くことにビラルは、飲用乳児が死亡している事実を把握していました。そのうえ、採用時に交わした契約書には、“金品の授受をした場合は懲戒解雇“と記されていると告げたのです。アヤンは会社にはめられたと気付きました。几帳面なアヤンは、金品購入時の領収証を保管していたことから、それらを武器に会社を訴えることに決めました。

国産の製薬販売に戻ったアヤンですが、彼の商品を買うなとビラルが医師に手を回していました。一方、当初は世界最大の会社を訴えることに反対していたファイズも気持ちを改め、データ提供など協力を始めます。この頃生まれた第二子は、アヤンにとって希望の光となりました。
ラスタ社は営業バイクの損害についてアヤンを訴えていましたが、アヤンの行動を鎮めるため、2万ルピーを支払うと申し出ます。しかし粉ミルクの販売中止に関する回答はなく、アヤンはWHOへ通報しました。これによりアヤンは尾行され、常に身の危険を感じる状況に陥ります。またWHOは医師の倫理違反について保健所へ通達。名指しされた医師は戦々恐々とし、これはアヤンの暴挙だと事件が町に知れ渡ります。アヤンの家には無言電話、ファイズも脅迫されるなど、仕打ちは激しさを増していきました。

アヤンは以前会ったhubのマギーを訪ねます。しかし乳幼児を救うために焦るアヤンは、マギーに反発してしまいます。程なくしてアヤンはマリク大佐に呼び出されます。しかしそこにはビラルもいました。彼らに歯向かったアヤンは拘置され、国を買収したような企業を訴えても勝ち目はないと宣告されます。ようやく解放されたアヤンが家に戻ると、ファイズとマギーが来ていました。領収証が切り札になるとマギーが吉報を届けに来たのに、アヤンの様子がおかしいのです。家族が狙われる…と取り乱すアヤンに、ザイナブは「家族は壊れるかもしれないけど、私は信念に背く夫を尊敬できない」と断言しました。この言葉を受けたアヤンは一家を遠くの町に夜逃げさせ、自身も厳戒態勢の中で行動を続けます。

【結】- 汚れたミルク/あるセールスマンの告白のあらすじ4

国内で告発本を出版すればアヤンの命が危ないと察知したマギーは、ドイツでのドキュメンタリー番組の放送と出版を検討し、プロデューサーのミヒャエルを招きました。ヨーロッパで報道されれば、アヤンは英雄として国に戻れるのです。しかし番組が放送されるまでの1ヵ月間ドイツでの広報活動が必要となるため、アヤンは家族が心配で躊躇いました。そんなアヤンに「やりなさい。家族は私が守る」と背中を押したのは父でした。父の力強い後押しもあり、アヤンは渡独を決意します。
まずは国内での撮影が始まります。発展途上国では人口急増に伴い粉ミルクの市場規模も大きくなり、患者が増える一方だとファイズが語り、欧米製品への強い憧れも一因で、貧困層が粉ミルクを薄めて飲ませ、乳児が栄養不足となっていること、母乳保育で150万人が助かるのだとマギーが訴えました。そしてアヤンはマギーと共にドイツへ旅立ちます。

撮影準備は順調に進みましたが、番組の収録直前に事態が一変します。アヤンが大佐に呼び出された際、6万ドルでラスタ社と和解合意したという音声テープがラスタ側から届けられたのでした。会社から脅迫され、家族を守ろうとしたアヤンは、和解せざるを得なかったのです。その旨をマギーとミヒャエルは必死で弁明しますが、番組幹部の意向で放送は中止に…。無情にもアヤンは国に帰れなくなりました。

再び2006年、ロンドン。
アヤンが家族と逃げたところまで話を聞いた製作陣は、その日の通話を終わらせました。事実でなければ映画化は出来ないため、会社に脅迫されたアヤンが会社を訴えるのはおかしいと感じたのです。同席していたマギーは、アヤンが和解交渉時に脅迫されたこと、金は結局受け取っていないことを証言しました。製作陣には、アヤンの告発目的が理解できません。
翌日、製作陣は再びアヤンに真相を問います。アヤンは武装兵に囲まれ脅迫されたため、一度は和解合意に応じたものの「そんな育て方はしていない」と父に言われたことで、交渉を決裂させたと打ち明けました。事件以来アヤンは7年間も妻子に会えず、両親を看取ることも出来ず闇に葬られた状態です。製作陣はアヤンが良心から行動を起こしたのだと納得しましたが、大きすぎるリスクゆえ映画化は頓挫しました。

2007年、アヤンは家族と再会を果たします。タクシーで生計を立て、一家は現在カナダで暮らしています。

みんなの感想

ライターの感想

まさに此の親にして此の子あり。そして此の夫にして此の妻ありとでも言うべきか。アヤンの行動はもちろんのこと、たくましい家族の姿に心を打たれました。ザイナブや父の台詞はこの作品の大黒柱ではないでしょうか。
事件にまつわる物語と、映画製作についての物語が交錯するので、はじめは混同しました。内容に集中するために事件についてだけ描いてほしいとも感じましたが、それでは製作陣の苦悩までは気付けません。社会派なテーマを取り上げる映画制作者は、とても大きなリスクを背負っていることを知りました。こうして映画化されていなければ、自分もアヤンを悪人ゆえの行動と見てしまったかもしれません。この手の作品はもっと制作者に敬意を払って鑑賞しなくては…と痛感しました。

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