映画:犬猿

「犬猿」のネタバレあらすじと結末

サスペンス映画

犬猿の紹介:2018年2月10日公開の日本映画。『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔監督が、地方都市に暮らす、まるで正反対な兄弟と姉妹という4人の男女の運命が交錯していくさまを描くユニークな人間ドラマ。マジメな弟を窪田正孝、その兄を新井浩文、印刷会社を切り盛りする姉をお笑いコンビ、ニッチェの江上敬子、その妹を筧美和子と、実力派4人が顔を揃える。

あらすじ動画

犬猿の主な出演者

金山和成(窪田正孝)、金山卓司(新井浩文)、幾野由利亜(江上敬子)、幾野真子(筧美和子)

犬猿のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①乱暴で問題児の兄・卓司と、まじめだが気が弱い弟・和成。優秀だが見た目がイマイチの姉・由利亜と、スタイルは抜群だが頭の悪い妹・真子。兄弟と姉妹は互いに、自分にないものをきょうだいの片割れに見つけ、コンプレックスを抱く。 ②兄の卓司が暴漢に襲撃され、首を刺される。姉の由利亜は介護に疲れて手首を切る自殺未遂。いずれも弟妹が見つけて助ける。和解したかにみえた兄弟姉妹は、また些細なことで喧嘩を始める。

【起】- 犬猿のあらすじ1

犬猿のシーン1 ・金山和成…卓司の弟。印刷会社の営業担当。まじめにこつこつ仕事する努力家。
・金山卓司…和成の兄。強盗事件で投獄されており、昨日出所したばかり。破天荒で型破り。

・幾野由利亜…真子の姉。太めで眼鏡にひっつめ髪。小さな印刷工場を経営している。
・幾野真子…由利亜の妹。芸能活動をしているが、胸が大きいところしか才能がないと事務所社長にも指摘される。姉の印刷工場の事務を手伝っている。


平凡なラブストーリーの映画の宣伝が、カーナビの画面に映し出されますが、車に乗り込んだ和成は、冷ややかな目で見ていました。
その駐車場で、隣の車の男性から、和成は因縁をつけられます。
隣の車の男性は「ドアをぶつけた」と主張しますが、和成は全く身に覚えがありません。
「塗装代を弁償しろ」と言われた和成は、車外に出て傷を確認しようとしました。
和成の顔を見て、男性の車の助手席に座っていた、もうひとりの男性が慌てて出てきます。
もうひとりの男性は、和成が「卓司の弟」と知っていました。
男性もそれを聞くと、とたんに態度を改めます。
「早く言ってくださいよ」と丁寧口調になると、塗装代を否定してそそくさと去りました。

帰宅した和成は、自分のアパートの扉の前に、兄・卓司が立っているのを見つけます。
卓司は昨日、出所したばかりでした。和成はやむをえず、しぶしぶ兄を部屋にあげます。


卓司と和成は、その人間関係が複雑な兄弟なのですが、もう1組、複雑な姉妹がいます。
それは、和成が仕事の取引で出入りする、小さな印刷工場の姉妹でした。

姉の由利亜はしっかりしていますが、太っています。家事も万能で気が回るのですが、「やってくれて、あたりまえ」と家族からは思われていました。
妹の真子は、若くてスタイルがよく、胸が大きい女性です。
それも手伝って、取引先の男性たちはみんな、真子をちやほやしました。
家族も、真子が家事を手伝わないことに多少文句を言っても、それ以上要求することはありません。

由利亜は、仕事で出入りする和成に、ひそかに思いを寄せていました。
ポスターの打ち合わせをしながら、さりげなく一緒に食事できないかと画策します。
しかし和成のほうはご多分に漏れず、真子のほうに好意を抱いていました。
和成は由利亜を誘うことはしませんが、真子が媚びを売りつつ「飲みにいきましょう」と言うと、ふたつ返事で応じます。


兄の卓司が、出所祝いに呑みにいこうと、和成を誘いました。
出かけた先は、ハヤシという男性が経営しているクラブです。

卓司は、小さな土木事務所の金庫をユンボで盗もうとしたところ、警察が待ち受けていて逮捕されました。
強盗の計画を警察に通報した者がいると、卓司はハヤシを疑っています。
卓司はハヤシに乱暴を振るい、ハヤシの用心棒にも暴力を振るいました。
当然のことながら、その日の飲み代を、卓司が店に払うことはありませんでした。

別の日。
和成が帰宅するのと入れ違いで、デリヘル嬢が家を出ていきます。
和成は卓司に注意しますが、卓司はどこ吹く風でした。


真子の助け舟で、和成、由利亜、真子の3人は肉を食べに行きます。
食事中に、和成は卓司から電話を受けました。どこにいるのかと聞かれ、答えざるをえません。
やってきた卓司は、和成の食事の相手が女性2人だと知ると、ずかずか入ってきました。
あたりまえのように席に座ります。

こうして兄弟2人と、姉妹2人は顔を突き合わせることになりました。

【承】- 犬猿のあらすじ2

犬猿のシーン2 翌日。
和成が出勤すると、ポスターの件で顧客からクレームがつきます。
実物の赤身と色合いが違うと言われ、刷り直しを支持された和成は、由利亜に頭を下げて頼みました。
「なんでもする」と和成が言ったので、由利亜は「どこか遊びに連れていってください」という条件で、引き受けます。

由利亜は仕事をがんばり、和成の仕事を仕上げました。
初体験までも視野に入れ、富士急ハイランドでのデートプランを練ります。
由利亜は和成と遊園地でデートしますが、興奮のあまり鼻を鳴らしました。和成は小さく驚きます。
さらに乗り物に酔った由利亜は、吐く醜態を晒しました。
それでも和成から、1日早い誕生プレゼントとして手ぬぐいをもらった由利亜は、喜びます。

帰宅すると、由利亜がデートで着た赤いワンピースとまったく同じワンピースを、真子も買っていました。
体形の違う2人が着ると、まるで別の服に見えます。
部屋に戻った由利亜は、手ぬぐいの柄の「赤い菊」の花ことばを検索しました。
「あなたを愛します。」だったために、狂喜乱舞した由利亜は、情熱のダンスを踊って陶酔します。


卓司が何かの商売を始めました。
車と金を勝手に使われた和成は、卓司に返せと詰め寄ります。
しかし卓司が暴力を振るうと、和成は「ごめんなさい」と言いながら体を丸めました。
兄弟は昔から、こういう力関係だったようです。

卓司の商売がうまくいき、羽振りがよくなりました。
その頃には卓司は和成の部屋を出ており、別の部屋を借りています。
儲けた金で、実家の借金も返済していました。和成は驚きます。


ただのグラビアアイドルで終わりたくない真子は、「聞くだけで話せる英語」のCDを聞いていますが、まったく上達しませんでした。
印刷工場に、外国人から電話がかかってきます。
姉の由利亜が流暢に英語を話すのを聞き、しかも「高校と大学で習っただけだけど」と言われた真子は、努力しても上達しない自分と、優秀な姉との差異を見せつけられたようで、傷つきました。
姉妹も昔からこのように、互いにないものをお互いに見出して、互いに傷つけあっています。


姉の由利亜に嫉妬した真子は、姉を傷つけようと考えます。
由利亜が片思いをしている相手・和成に接近し、付き合い始めたのでした。しかも、姉には言わないままです。
ファミレスで打ち合わせをした際に、和成から真子との交際を聞かされて、由利亜は動転しました。
帰宅して質問をすると、真子も肯定します。
がっかりした由利亜は、和成にも真子にも冷たい態度を取りました。

【転】- 犬猿のあらすじ3

犬猿のシーン3 和成と真子は、遊園地でデートします。
そこは先日、和成が由利亜とデートした富士急ハイランドですが、和成は楽しそうです。
テーブルでおしゃべりした2人は、互いのきょうだいの話に言及しました。
自分の兄や姉のことを悪く言いながらも、「相手に悪く言われると」むきになって否定します。
自分が悪く言うのはいいのですが、他者に言われるとかばってしまう、複雑な心境なのです。


卓司がしていた商売は、違法薬物を輸入して売買するというものでした。
卓司は警察に追われる身となります。
真子はAVではないものの、露出の高い映画に出ており、それを由利亜の手で身内にばらされて憤りました。


あせった真子は枕営業(肉体関係を持つことで、仕事を取ること)で監督から仕事をもらおうとしますが、ホテルのフロントにいるところを、卓司に見られます。
真子は卓司に、口止めを頼みました。
和成と真子が交際していることを知りませんが、卓司はうなずきます。


和成の部屋にころがりこんだ卓司は、タバコでソファを焦がしてしまいました。
うんざりした和成は、兄に自首を勧めます。
すると「出頭しなかったら、またチクるのか」と卓司が言いました。
卓司は弟の和成を、疑っていたのです。
口論になった際に、卓司は真子をホテルで見かけたことも話しました。
兄と弟で、つかみ合いの喧嘩になります。

同じ頃。
由利亜と真子も口論をしていました。
和成をあきらめきれない由利亜は、工場の取引相手が和成から別人に配置換えになったことを、気にかけていました。
思いつめた由利亜は、和成の住所を調べたり、家の前で待ち伏せしたりして、ストーカーまがいの行動に走っています。
真子は姉の由利亜に聞こえるように、和成とのあいだに結婚話が出ていると報告して、あてつけました。
仕返しに由利亜は、真子が出演しているピンク映画を再生し、親族に見せます。
叔父たちは退散し、由利亜と真子も取っ組み合いの喧嘩をはじめました。


喧嘩の場から去ったのは、弟の和成と妹の真子でした。
2人きりのきょうだいなので、本当は争いたくないという感情を、兄弟姉妹4人とも持っています。
しかし顔を突き合わせると、どうしても衝突してしまう、それがきょうだいなのです。


祖父の介護をしていた由利亜は廊下で転び、尿瓶を倒してしまいました。淡々と床を拭きます。
急に生きているのが嫌になり、由利亜は衝動的に部屋で両手首を切り、自殺を図ります。

同じ頃、部屋に残った卓司のところへ、覆面をかぶった男性3人が襲撃しました。
卓司は首を刺され、出血します。
刺したのは、クラブの用心棒たちでした。その場から逃亡します。

【結】- 犬猿のあらすじ4

犬猿のシーン2 帰宅した和成は兄を見つけますが、部屋を出て「見なかったこと」にしようとしました。
しかし見捨てられず、救急車を呼びます。
真子も同じでした。部屋で姉の由利亜が手首を切っているのを見た真子は、半狂乱で姉に呼びかけつつ、救急車を呼びます。


病院へ向かう救急車のなかで、酸素マスクを外した卓司は和成に話しかけます。
「俺ほんとに、俺、だまされたんだよ。知らなかったんだよ。ほんとに変われると思ったんだよ」
輸入して売買していた物品が、違法薬物だったことを、卓司は知らなかったのです。
今度こそまじめな仕事に就けると、卓司は思っていたのでした。
和成も卓司に話しかけます。
「さっきは逃げてごめんなさい。本当は見捨てようとしたんだ。何も見なかったら、お兄ちゃん死んだら、自由になれると思ったんだ。俺、サイテーだ。全部お兄ちゃんの言うとおり。警察に電話したのも俺なんだ」
自分が兄を見捨てようとしたことを告白し、懺悔します。

姉妹のほうも同様でした。
姉の由利亜は「私は何も持っていない」と言いますが、真子も同じ気持ちです。
由利亜は、真子のような美貌、スタイルを欲しがっていますが、真子は由利亜のような優秀さが欲しいと思っています。
互いに相手を嫉妬する感情をぶちまけ、苦しい感情を吐露します。

病院へ着いた頃、卓司は幼少期の頃を思い出していました。由利亜も幼い頃のことを追想しています。


…卓司と由利亜は助かりました。
2人が運ばれた病院は、奇しくも同じところです。
兄弟と姉妹がそろい、ぎこちない笑顔を浮かべながら、屋上で話をしました。
途中からその笑顔は本物に変わります。
そこへ、警察がゆっくりとやってきました。
(卓司は逮捕される)


夏。

姉の由利亜は、妹の真子にパソコンを教えています。
そこへ取引先の男性が通りかかり、真子だけを褒めました。
真子は姉の髪形も変わったことを指摘して、褒めるよううながします。
男性が帰ったあと、由利亜は男性に褒めことばを強要した真子を責めます。
真子は、よかれと思って発言したことなので、姉に対して「卑屈」と言いました。
仲良くなりかけていた矢先ですが、また姉妹はいがみあい始めます。

和成は兄の卓司のもとへ、足しげく面会に行っています。
出所した際には、雇ってくれそうな大工の仕事があると、和成は兄に言いました。
今度こそまっとうになると答えた卓司は、まだ仕事を始めてもいないのに、調子に乗って成功したときの話を始めます。
和成が「下積みは大事、こつこつ努力することは大事」と指摘し、諫めると、卓司は露骨に嫌な顔をします。

「確かに、変わんねえかもな。俺もお前も」
兄弟は面会のアクリル板越しに、にらみ合いました。

(兄弟、姉妹は互いにコンプレックスを持っており、それは容易に解決できるものではない、一生つづく…といったことを含んだ内容)

みんなの感想

ライターの感想

ちくりちくりと、この監督さん独自の意地悪な面が出てくる。こういう細かな機微を描かせたら、監督は天才的。
日常生活に潜んでいる、ほんとに小さなできごと。そこに、小さなとげを仕込んでいる感じの映画。
たぶん「きょうだい」が異性だった場合には、ここまでこじらせることにならないのではないか。
同性の「きょうだい」だからこそ起こりうる、嫉妬や羨望、コンプレックス、それをみごとに描いている。
よくなりかけた関係もうわべだけの問題で、一生つづくであろうこの対立。
終わり方も上手、秀逸。

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