「64(ロクヨン)後編完結」のネタバレあらすじと結末の感想

64(ロクヨン)後編の紹介:2016年6月公開の日本映画。横山秀夫のベストセラーを前後編の2部作として映画化したミステリーの完結編。ロクヨン事件を連想させる事件が時効直前に発生し、その誘拐事件の解決に奔走する刑事たちと、それを取り巻く周囲の人物を描く。

予告動画

64(ロクヨン)後編完結の主な出演者

三上義信(佐藤浩市)、三上美那子(夏川結衣)、三上あゆみ(芳根京子)、諏訪(綾野剛)、蔵前(金井勇太)、美雲(榮倉奈々)、松岡勝俊(三浦友和)、望月(赤井英和)、漆原(菅田俊)、柿沼(筒井道隆)、幸田一樹(吉岡秀隆)、日吉浩一郎(窪田正孝)、村串みずき(鶴田真由)、辻内欣司(椎名桔平)、赤間(滝藤賢一)、石井(菅原大吉)、二渡真治(仲村トオル)、荒木田(奥田瑛二)、落合(柄本佑)、雨宮芳男(永瀬正敏)、秋川(瑛太)、目崎正人(緒形直人)、目崎早紀(渡邉空美)

64(ロクヨン)後編完結のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①7日間で幕を閉じた女児誘拐殺人事件、通称・ロクヨン。それを彷彿とさせる事件が時効1年前の平成14年12月に発生。被害者家族はスポーツ用品店経営の目崎正人の17歳の長女・歌澄。誘拐にしては年がゆきすぎている&小学生の次女がいることもあり狂言誘拐かと疑われる。 ②誘拐ではなく家出した歌澄の携帯を使った、ロクヨンの被害者・芳男と当時の捜査員・幸田の犯行。ロクヨンの犯人である目崎のしっぽを掴むためだと知った三上は、目崎の次女・早紀の協力もあって逮捕した。

【起】- 64(ロクヨン)後編完結のあらすじ1

わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に、群馬県で小学1年の女児・雨宮翔子が誘拐され、殺害される事件が起こりました。
身代金の2000万円は盗まれたまま、翔子は後に遺体となって発見されます。
本来は女児の誘拐殺人事件なので大きく扱われるべき内容なのですが、タイミングがよくありませんでした。
発生時期がちょうど昭和から平成の境目に起きたため、天皇崩御のニュースにまぎれてしまいました。
雨宮翔子誘拐殺人事件、通称・ロクヨンは、平成14年12月、未解決のまま時効が迫っています。
元刑事の三上は、現在は警務部で広報官をしていました。私生活では高校生の娘・あゆみが家出をし、行方を探して妻・美那子と共にやきもきしていました。
加害者の匿名問題について記者クラブと衝突し、問題はこじれます。
さらに時効間際の雨宮家に警察庁長官が視察に来るということで、三上は遺族の父・芳男に慰問許可を苦労して取り付けました。
ところが長官視察の前日になって、突然、ロクヨンをなぞったかのような誘拐事件が発生しました…(映画『64(ロクヨン)前編』参照)。

ある雨の夜。公衆電話に佇む影があります。
その人物は昔のハローページ(個人の電話帳)を持っており、アイウエオ順にリストを消していました。
「三上」のところまで消しています。

(ここからしばし、前編のダイジェスト。廃車場で犬が吠えるため解体業者が車に向かい、トランクを開けて遺体を発見するシーンは前編では、登場しなかった。
雨宮芳男宅を幸田が訪問し、幸田メモなるものについて調べてロクヨンの新事実を突き止める。
さらに警察庁長官の視察の目的が、刑事部長を警察庁人事にするためだと明らかになる)

平成14年12月11日(水)。視察前日。
群馬県玄武市で誘拐事件が発生し、サトウを名乗る人物から2000万円の身代金が要求されました。
犯人は丸越百貨店の一番大きなスーツケースを希望し、その中に現金を入れておくよう指示します。
まるでロクヨンを模倣したかのような内容に、警務部秘書課広報室広報官の三上は驚きました。刑事部捜査一課次席の御倉(みくら)が概要を記した書類を渡しますが、そこには被害者の名前は伏せられていました。
三上が聞くと「ロクヨンを模倣した、狂言誘拐の可能性があるため」という答えが返ってきます。
三上は非常に困った立場にたたされました。というのも、つい昨日に「実名を原則とする」と記者クラブに言った矢先のことだからです。
誘拐事件発生のことを記者クラブに発表しますが、案の定でした。匿名と言った矢先に騒動が起きます。
三上は部下の蔵前、諏訪、美雲らに会場を任せ、「自分が実名を取って来るから、それまでなんとか持ちこたえてくれ」と言って去りました。諏訪たちも記者クラブに「まだ精査の途中なので少し待ってくれ」「三上が調べに行っている」と伝えます。
記者クラブは仮協定を結びますが、本協定はまだ提出しませんでした。

三上はまず雨宮宅へ立ち寄りますが、留守でした。
対策本部が置かれた玄武警察署に行った三上は、トイレの個室でじっと待ちます。
すると小用を足して手を洗った後、ハンカチを広げてぱんと振る音がしました。それが刑事部捜査一課長の松岡の癖だと知る三上は個室を出て、松岡に会います。
松岡も三上がなぜ来たか、理解しました。
男性刑事が2人入ってきますが、松岡は下の階のトイレへ行ってくれと人払いをし、三上に教えます。
「被害者家族は目崎正人(めさき まさと)49歳、スポーツ用品店経営。住所は玄武市大田町2丁目246番地…」
それを言った後、松岡は三上に無言電話があったかと聞きました(前編から出てくる「無言電話」が後に重要な手がかり)。三上が頷くと、次に松岡は「美那子さんを貸してほしい」と言います。三上の妻・美那子は元婦警で、ロクヨンの時も喫茶店で客の振りをして張り込んでいました。
美那子は娘・あゆみの家出、そして無言電話がかかってきて以来、自宅でいつでも電話を取れるよう子機を持ち歩いていました。外出もしたがりません。
三上は、松岡に情報を提供してもらった見返りに、少しでも恩に報いたいと考えました。
携帯電話で自宅に電話すると、妻・美那子に人助けであることを強調し「17歳の女子高校生が誘拐された。協力してほしい」と告げます。
ところで。
被害者の家族の名は得られましたが、「誘拐された本人の名」が出なかったことがポイントです。しかも誘拐されたのは17歳の女子高校生でした。
なぜ誘拐と断定されず県警が言葉を濁しているのか…それは、誘拐されるにしては年長すぎるのです。
身体も小さく力も弱い小中学生ならいざ知らず、17歳となると「家出」という可能性も出てきますし、家族側に事情があり(借金など)利用しようとする「狂言」という可能性も否定できません。

三上はすぐに諏訪に電話をし、情報を流しました。諏訪も記者クラブに情報を流します。
実は誘拐された本人の名前が分からなくとも、被害者家族の名さえ分かれば、記者クラブにとってはあとの情報収集は他愛もないことでした(それだけの力を持っている)。ですからみんな騒動をやめ、無言で話を聞き、各自調査に動き始めます。
被害者家族の目崎家に娘は2人いるようでした。三上は、嫌な予感がします。

再び雨宮家を訪れようとした時、携帯に電話が入りました。
三上は電話を取ると携帯の電池が切れそうなことを告げ、一旦通話を切ります。
雨宮家の近所の公衆電話が目に入ったので、そこを利用しようとした三上は、不気味なものを発見しました。
その公衆電話ボックスは、川沿いにぽつんと建てられています。横にベンチがあるほかは目につくものがない場所に建っている公衆電話は、寒々としていました。
不気味とは「プッシュボタンの*(こめじるし)と♯(シャープ)ボタン以外が真っ黒になり、読み取れない」というものです。
三上は一瞬たじろぎますが、今はそれを考える時間がないので警察に電話をかけ直し、用件を聞きました。
明日の警察庁長官の視察が取りやめになったそうです。三上は思わず「延期ではなく取りやめ?」と聞き直しました。
申し訳ないと思いつつ、三上は夜に雨宮家を訪問し、芳男に告げます。今度は芳男は家におり「そうですか、分かりました」と答えました。
三上はこの数日に起きた騒動に、すっかり疲れていました。それを気取られたのか、雨宮に「大丈夫ですか?」と聞かれます。
雨宮は家を出た脇のベンチに三上を座らせると「悪いことだけじゃありませんよ。きっと、きっといいこともあります」と声をかけました。
(前編にもちらっと触れたが、三上の娘・あゆみが家出をし、三上が探していることを雨宮は「ある事情で」知っている)
優しい声をかけられた三上は、つい雨宮にすがりつく思いで質問してしまいます。
「雨宮さんはどうやって日々を…毎日毎日を過ごしてきたんですか。…すみません、ぶしつけでした」
誘拐犯に娘を殺された父親に聞くには、確かに酷でぶしつけな質問です。しかし雨宮はそれに気を悪くした様子もなく、殺された娘・翔子の思い出を話しました。
翔子はメーダマ(枝に繭の形の餅や団子をつけたもの)が好きで、どんど焼きを楽しみにしていたこと、だからまだ早いのにメーダマを持たせていたこと。翔子と一緒に作った松飾り。
「日に日に記憶が消えていきます、忘れたくないのに。残るのは、整理のつかない心だけです」
これは雨宮の本心でした。三上は返す言葉がありませんでした。

【承】- 64(ロクヨン)後編完結のあらすじ2

刑事部による記者会見が始まりますが、現れたのは現場経験のない若いキャリア組の刑事部捜査二課長・落合(おちあい)でした。
記者クラブは騒然となります。記者会見には本来、捜査一課長か刑事部長がすべきものだからです。
誘拐事件ということもあり、記者クラブには各々のマスコミの「県担当」だけでなく、本社からの記者も来ていました。本社の記者は「これだから地方の警察は」とあからさまにバカにします。警察と記者クラブに良好な関係が築けていないのかと思われます。
いつも三上が応じている「群馬県の記者クラブ」メンバーは、警察にだけでなく本社にもバカにされ、二重に恥をかかされる屈辱を味わいました。当然、攻撃的になります。
そんな険悪な雰囲気の中で始まった記者会見で、落合は緊張し委縮していました。
落合は広報室が用意した「事件概要」を読んでおらず、事態の把握ができていません。
見かねた東洋新聞の秋川が助け船を入れました(質疑応答という形を取り、落合から話を聞き出しやすいようにした)。
ところがここで大変なことが発覚します。
秋川が「狂言誘拐ですか?」と質問しました。秋川にかぎらず、調べた記者がみな胸に抱いている疑問です。
目崎家には2人の娘がいました。
「学校に登校せず引きこもりの17歳の長女・歌澄(かすみ)」「11歳の小学生の次女・早紀(さき)」です。記者クラブはとっくに調べて、名前や年齢も突き止めていました。
仮に目崎家を狙って誘拐をする場合、引きこもって家を出てこない年かさの長女を誘拐するよりも、小学生の次女を誘拐した方がはるかに楽で道理にかなっています。
そのことを質問すると、落合はぽかんとしました。
落合はなんと、被害者家族の名前すら聞かされていなかったのです(完全な「お飾り」状態)。
それを知った記者たちは話になれないと憤慨し、別の者を会見に立たせろと要求しました。
緊張とストレスで胃を痛めた落合は、顔面蒼白になります。

その頃、被害者の目崎宅にいる松岡は、目崎に無言電話があったか質問していました。
誘拐とは全く関係のない話題に困惑しながらも、目崎は「あった」と答えます。妻・睦子が出ることが多かったのですが、目崎本人も出たと言いました。
自宅班が待機する居間を見ながら、次女・早紀はあることを振り返っていました。
ある下校時、家まで送ると早紀を車に乗せてくれたおじさんがいました。早紀は赤いランドセルを背負ったまま、助手席に乗ります。
そのおじさんは全く違う道を通行し、道がちがうと早紀が指摘すると、泣きながら「ごめんな、ごめん。うっかりしてた」とおじさんは言いました。
車から早紀をおろしたおじさんは、「これ、お父さんに渡してくれないか」と紙袋を差し出します。紙袋からはメーダマが出ていました。
「君より少し小さかったけど、おじさんにも子どもがいたんだ」と、泣きながらおじさんは言います。「もういないの?」と早紀が聞くと、おじさんはうなずきました。
早紀は子ども心に、何かまずい事態があるのだと勘づき、紙袋を父親に渡せずに持っていました。早紀が部屋に戻って紙袋を開けると、メーダマとある少女の写真が出てきました。

記者会見場は大混乱していました。落合は短時間で疲弊し、倒れそうな様相を呈しています。
群馬県の記者団は三上に「悔しい、田舎者扱いで東京にバカにされる」と直訴します。
落合は古い情報しか出せませんでした。犯人からの発信は2回で、いずれも玄武市内だと言いますが、情報通の記者に「半径3kmまで絞れるだろ!」と怒声を浴びせられます。
(警察に詰めている記者は情報にも詳しく、どこまで把握できるか知っている)
「ガキの使い」「生きてる価値なし」とまで痛罵され、落合はストレスで意識を喪失しかけました。机につっぷして倒れます。
美雲が救急車を呼ぼうとし、三上が「捜査一課長を出す」と言いかけましたが、落合が「僕はまだやれます」と根性を見せました。
三上は玄武署に行き、そこから情報を得て流すと言い、場を去ります。
廊下で警務課調査官の二渡(ふたわたり)が協力しようかと三上経由で諏訪に聞きますが、「弱みを見せたら広報官になれない」と諏訪は拒否します。

12月12日(木)。
三上の妻・美那子が協力しに玄武署に出向きました。美那子を知る松岡は感謝の念を述べます。
(余談になるが、現役の婦警はショートカットの女性が多いので、婦警あがりのロングヘアの女性などが望まれる。美那子は黒髪だが、同様の理由でカラーリングをしている女性も求められる)
移動する松岡に三上が突入し「捜査指揮車に乗せてください!」と訴えました。
松岡は三上に「情報には常にタイムラグが必要。知り得た情報は、最低20分は胸に留め置くこと」を条件にして、認めます。つまり全情報を三上に開示してくれることを、許可したのです。
捜査指揮車に乗った三上は、前橋市の方にばかり意識が傾いていて、歌澄本人の捜索が薄いことに気づきました(17歳の歌澄本人が家出している可能性もあるので、並行して捜索活動もあるべき)。
刑事あがりでロクヨンの事件を踏んだ三上にとっては、不思議な違和感がありました。松岡は、何か別の目的があって動いているように見えたのです。
自宅へ入電があります。目崎歌澄の携帯からです。
犯人はヘリウムガスの声で、金が用意できたかと聞くと「11時50分までに、葵町にある喫茶あおいに金と携帯を持って出てこい」と言いました。
娘・歌澄の声を聞かせてくれという目崎の希望は無視されます。
自宅を出るとぎりぎりの時間でした。松岡は「全アオで通せ(全部の信号を青にしろ)」と的確に指示します。
11時13分に車中の目崎に入電があり、「片山町の環状線に入れ。すぐにUターンしろ」と言われます。
目崎は必死になっており、携帯電話の犯人との通話を切らずにいました。後部座席に潜む警官が声をかけて落ち着かせることもできず、交通事故という最悪の事態に陥らせないための方法がないか、捜査指揮車も焦ります。全アオを解除しても、目崎が90km以上のスピードを出しているので、追尾班が困ります。
(追尾班は追尾班であることがばれてはならない。目崎の車にならって超高速で走ると、それだけ目立ってしまう)
目崎は現在スポーツ用品店を経営していますが、前職は車のディーラーでした。車の運転が上手だろうと推測した三上は、「追尾班を2台使って道をふさげ」と指示し、松岡もその案を採択します。
車道をふさがれた目崎はスピードを緩めました。
目崎の携帯に「国道の交差点を北進しろ」と指示があります。途中を省略しているものの、やはりロクヨンを模倣したものと思われました。
「娘を返してほしいなら、指示に従え」の「指示に従え」という犯人の声が、ヘリウムガスが切れて地声になります。
声を聞いた三上は気づきました。その声はロクヨン当時、警察にとって都合の悪い事実を隠蔽され刑事を辞めた、幸田一樹のものでした。

【転】- 64(ロクヨン)後編完結のあらすじ3

その時、捜査指揮車に新たな情報が入ります。
「管内で目崎歌澄、保護の知らせ」です。直後に「保護ではなく補導」と訂正が入ります。
(「保護」は助けること、「補導」は自由に行動していた未成年者に職務質問などして、身柄を確保すること、念のため)
歌澄は誘拐されていなかったことが判明しました。
同じ頃、歌澄がディスカウントストア『ストライク』の前で補導されます。
そのディスカウントストアでヘリウムガスを買おうとしていた幸田は、警察官が続々と集まるので買えずに、仕方なくヘリウムガスなしで声を変えることにしました。
歌澄は家出をして、ライブハウス前で眠りこんだ時に携帯を盗まれたことが分かりました。
三上は安堵しますが、捜査指揮を執る松岡は違いました。「事件はまだ終わっていない」と三上に呟きます。
三上は、歌澄の無事を早く目崎に知らせてやれと言いますが、松岡は無言でした。
自分の娘・あゆみが家出して心配する自分と目崎を重ねた三上は、「子どもがいなくなる父の気持ちが分からないのか」と怒りますが、それでも松岡は無言を通します。
脅迫電話の主が幸田だと気づいた瞬間から、三上はある仮説を立てていました。それは「自分の報告書(幸田メモ)を通してもらえなかった幸田が、群馬県警へ意趣返し(復讐)をするために狂言誘拐を思いついた」というものです。
しかし松岡は厳かに言いました。「この車は、今ロクヨンの捜査指揮を執っている」。
三上にはその意味がつかめずにいました…。

捜査指揮車で三上と松岡が睨みあっている間にも、目崎はどんどん進んでいました。
純喫茶チェリーに着いた目崎は、その店の裏の空き地のドラム缶にスーツケースから金を出して入れろと命令されます。
さらにドラム缶の横の一斗缶の油をかけて金を燃やせと言われ、目崎は戸惑いながらも実行しました。2000万円は燃やされ、灰になります。
ドラム缶に火をくべたことから、店内の婦警や警官だけでなく、近所の通行人の好奇の目も集まってきました。
犯人に「歌澄を返して下さい、歌澄はどこにいるんですか」と聞いた目崎は、「缶の下だ」と言われ、缶の下のメモを読みます。
一筆箋に「犯人へ 全て14年前のままだ。娘は小さな棺に入っている。」と書かれていました。目崎は号泣します(歌澄が死んだと思った)。
捜査指揮車も現着して外へ出た三上は、目崎を見る通行人の群れの中に、雨宮がいることに気づきました。そしてやっと、無言電話の意味に気づきます。

ロクヨン時代。
犯人は挙げられず、事件は未解決のままでした。
犯人の声を録音し損ねた日吉は引きこもりになりましたが、幸田は責任を感じて、以後も雨宮と交流を続けていました。
(前編で三上が雨宮宅の仏壇に手を合わせた時、雨宮の「御沸前」を見つけるシーンがある。それがヒント)
携帯電話もなかった当時、録音もできなかったことで、犯人の声を聞けたのは「雨宮芳男」だけです(厳密には事務員などもいますが)。
芳男は14年間ずっと犯人探しを続けていました。警察が対策本部を解いてからも、個人でずっと「犯人の声」を頼りに犯人探しを続けていたのです。
それは近所の公衆電話で行なわれました。携帯の電池が切れそうになった三上が入った公衆電話がそれでした。
昭和当時のハローワークを片手に、アイウエオ順に手あたり次第かけていった芳男は、その家の「男の声」を聞きたがりました。妻が出た時は夫に代わるのを無言で待ちます。
芳男はそれを14年間続けていました。松岡宅、三上宅、美雲宅、御倉宅への無言電話は、芳男からのものでした。
三上宅へ電話をかけた折、娘・あゆみからだと思った三上が声を荒らげて「あゆみ、無事なのか!?」と訴えていたのを芳男は聞いており、そのため、三上の抱く苦悩を知っていました。
そして…芳男は目崎正人に14年かけて辿り着いたのです。
芳男は最初、次女の早紀を誘拐しようと思いました。下校中の早紀を車に乗せたのは芳男です。
ところが早紀と自分の娘・翔子をだぶらせた芳男には、到底、そんなことはできませんでした。誘拐は果たせず、娘を彷彿とさせるメーダマと娘・翔子の写真を早紀に持たせるのが精一杯でした。
(仮に誘拐事件を起こしても、殺すつもりはなかったと思う)
目崎家を張っていて長女・歌澄の家出を知った芳男と幸田は、歌澄の携帯だけ盗んで誘拐事件を作ることを思い立ちます。

芳男と幸田の目的は
「14年前の犯人・目崎正人に、娘を亡くした父親の気持ちを少しでも分からせよう」
「ロクヨンの犯人だけしか知り得ない情報を、引き出そう」
この2つでした。
松岡はここまで読んでいました。なので「事件はまだ終わっていない」と言ったのです。

空き地で2000万円を燃やしながら放心状態でいる目崎のところへ、妻・睦子からの電話が入りました。
歌澄の無事を知り誘拐ではなかったと知った目崎は、今一度、手元の一筆箋を見て、書かれていることの意味を知りました(14年前の犯人だと相手が気づいていることや、歌澄誘拐狂言事件を起こしたのが芳男であることなど)。
「犯人へ」などと書かれた一筆箋を警察に見られると不都合だと思った目崎は、一筆箋を二つに破って飲みこみます。
芳男が思わず目崎の元へ近寄ろうとしましたが、全てを理解した三上は、静かに押しとどめて「あとは(警察に任せなさい)…」と言います。
松岡は目崎を「確保」しました。
(「確保」なので身柄を拘束し、場合によっては聴取を受けるということ)
目崎は「歌澄、助かったんですね」と喜ぶ父親の振りを装いますが、連行される目崎はすっかり被疑者扱いです。
それを見た芳男は三上に寄りかかり、やがて踵を返すと、悄然と立ち去りました。

【結】- 64(ロクヨン)後編完結のあらすじ4

三上は記者会見場に電話を入れ、歌澄の保護と報道協定解除の知らせを報告します。
記者クラブはてんでに原稿作りに立ち去り、誰もいなくなった会場で疲弊した落合は寝ていました。
確保された目崎は聴取を受け、「なぜ犯人の言うとおり、カットサロン愛々にまっすぐ行かず右折したのか」と聞かれていました。右折ルートはロクヨン当時、犯人が指定したルートなのです。
吐かされた一筆箋の「娘は小さな棺に入っている」という証拠もありました。
ロクヨン当時、ディーラー勤務だった目崎がたちの悪い暴力団にひっかかり、1600万円の借金を背負いながらも、借金を返済してスポーツ用品店を経営するに至った不自然な金の流れもつかみます。
しかし決め手となる証拠がない群馬県警は、目崎を解放せざるをえませんでした。三上は怒ります。
全てを捨てて限界を越えた(罪を犯した)芳男と幸田の2人は失踪しました。
三上は一刻も早いロクヨン解決を望みますが、松岡や刑事部長の荒木田に制止されます。
松岡は「昭和64年、そこに犯人を引きずり戻す」と言いますが、三上は「昭和64年のたった7日間にいたんですよ、雨宮は、そこにずっと独りで」と返しました。

その夜。三上は寝つけずにいました。妻の美那子も同様です。
三上と美那子にとっては、無言電話の正体が時期的に芳男だと分かった今、放心状態にありました。娘のあゆみからのものだと希望を託していたのに、突き放された気分です。
しかし美那子は芳男を恨んでいませんでした。純喫茶チェリーで会った時に芳男が美那子に小さく会釈したことを告げ、ロクヨン当時の喫茶店の客の振りをする一婦警に過ぎない自分を覚えていたことを指摘して「忘れてないのね、ロクヨンのことは何もかも」と呟きます。

(ここから後は原作とかなり異なる展開!)

今度は目崎正人の次女・早紀が姿を消しました。長女・歌澄が帰ってきた矢先のことで、目崎は動揺します。第二の誘拐事件だと思いこみます。
しかしそれは異なりました。早紀は自らの意志で、家に帰らずにいたのです。
父親が何か隠していると気づいた早紀が、手がかりを得たいと思って雨宮漬物工場に訪ねてきていました。
芳男が帰っていないかと確認しに来た三上が、漬物工場に隠れている早紀を見つけます。
三上は逃げる早紀を捕獲し、事情を聞きました。早紀は三上が刑事と知ると、疑問をぶつけます。
「父は、時々うなされてて、怖い目をしています。雨宮さんは、何か父のこと知ってるんじゃないんですか」
早紀にはある程度、分かっているようでした。
考えた三上は、早紀を車に入れたまま、目崎の家に無言電話を入れました。目崎は「もしもし、返してくれ、娘を。何か言ってくれ、おい」と必死に話しかけてきます。
三上はしばらくして「小さな棺」と目崎に言いました。目崎は「そこにいるのか、そこに娘が」と呼びかけ、三上は何も言わずただ「来い」と答えます。
電話を切った三上は松岡に電話をかけ「目崎が消えたなら、琴平橋か死体遺棄現場の可能性がある」と知らせました。

目崎は通話後、家の外を窓からこっそり覗きます。マスコミは取り囲んでいますが、そこに刑事の姿がないことを確認すると、裏口から車で出かけました。
東洋新聞の秋山は、刑事部の覆面車両3台が出て行くのを見て、事件の急展開に勘づきます。スクープを狙って警察車両を追いました。
目崎は向かいながら、当時のことを振り返ります。ロープで女児・翔子の首を絞めて殺害した目崎は、廃車場に行って廃車の1台のトランクに遺体を入れました。トランクを閉めた目崎に、雨が降りかかります。
その当時のことを思い出した目崎は、廃車場へ行きトランクを開けようとしました。三上が近寄り、「娘を探しに来たんじゃねえのか」と声をかけて、コンクリートブロックでトランクを開けようとします。
トランクに遺体はありませんでした。脱力した目崎に、三上は「14年前お前の娘は2歳。どうして人の娘を殺せる!?」と責めます。
早紀を預かっていることを三上が告げると、目崎は掴みかかってきました。
ロクヨンが天皇崩御のニュースにまぎれ、遺体遺棄現場が廃車場のトランクだということを知っているのは、当時の事件に関与した「遺族」と「捜査員」と「犯人」だけだと三上が言い、目崎は三上が警官だと気づきます。
目崎は川を見ながら「そんなこと俺に分かるか」先の三上の問い(なぜ人の娘を殺せる)に答えました。ただ目崎も、自分が幼い少女を殺してしまったことは、ずっと忘れられずにいたのです。
刑事部が来て目崎を連行しました。目崎も反抗しませんでした。
その姿を、車からおりて早紀が見ていました。気づいた目崎が「来るな!」と言いますが、自分の父が殺人犯であることを察した早紀が号泣し、父である目崎も泣きます。
哀しい結末ですが、こうしてロクヨンと目崎家誘拐事件の両方が解決しました。

12月13日(金)。
東洋新聞の第一面には「現職警官、暴行で聴取」と三上のことしか触れていませんでしたが、秋山は社会欄にロクヨンのことを大きく取り上げています。
逮捕間近なのを気づいた秋山の「抜き」です。

12月15日(日)。
他社も目崎家の誘拐事件とロクヨンとの繋がりを勘づき、一斉に報道し始めました。
事実に肉薄した内容を扱い始めた新聞を読んだ荒木田刑事部長は「14年間の申し送り(幸田メモに緘口令を敷き、幸田をずっと監視しておけという内容)も、俺の代で終わりか」と呟きます。
松岡は辞儀をして退席しました。

その頃、家族とのしばしの別れを惜しんだ幸田一樹は、前橋中央警察署に自首しました。
ラジオニュースを聞き、録音ミスをして14年間引きこもっていた元科捜研の日吉が、部屋を出て泣きながら母に許しを乞います(肩の荷がおりて安堵し、今まで引きこもって母に心配をかけたことへの詫び)。

「現職警官、暴行で聴取」の張本人・三上は警察を辞職することを決意しました。
(劇中では明言はされていないから、辞めていない可能性もあり。但し三上が「これからは自分の足であゆみを探そうと思う。そうしなければあゆみとは、もう向き合えないような気がしたんだ」と説明していることから、辞職して娘探しに専念するのだろうと読み解ける)
去ろうとする三上に、諏訪が本心を話してくれと言います。三上は「目崎の女房と、娘の心を砕いてしまった。そこを一番分かっているはずの自分が、やってしまったんだ」と本音を告げます。
三上を直接辞職に追いやってしまった秋川は、その場にいて話を聞いていました。三上は秋川の肩を優しく叩き「お前は記者として全うした。それでいい」と評価します。
警務課調査官・二渡が立ちはだかり「お前は県警と刺し違えた(尽力したと評価している)。お前をなんとしても残す」と言いますが、三上はそれも拒否しました。
記者クラブへの挨拶もせずこっそり立ち去ろうとする三上を見た秋川は、諏訪たちに「残ったお前らがこれから広報支えるんだろう」と声をかけます。
諏訪は三上の奮闘に少しでも追いつけるよう、胸を張って記者クラブと向き合いました。
(記者クラブと広報部に絆が生まれた証)

12月19日(木)。
午前8時ごろ高田市本町のパチンコ店『パーラー榛名(はるな)』の景品交換所に強盗が入ったニュースが流れます。
2つの誘拐事件は、こうして少しずつ新たな事件発生に伴い、遠くへ押しやられてしまいます…。

平成15年1月15日(水)。
三上と妻・美那子はしめかざりを焼く、どんど祭りに参加していました。
その祭りで2人は芳男と会います。芳男は三上に辞儀をすると「明日、出頭します」と報告しました。
三上は早紀から預かっていた紙袋を芳男に渡します。メーダマと芳男の娘・翔子の写真、松飾りです。
松飾りを炎にくべた芳男は、ゆっくり去っていきました。
その頃、三上の自宅に公衆電話からの着信が入っています。
(はっきりと描かれないが、娘・あゆみからのものと示唆している)
それをまだ知らない三上と美那子は、2人でどんどの炎を見上げていました。これからも夫婦で協力して、娘・あゆみを探し、向かい合うつもりです…。

みんなの感想

ライターの感想

原作者・横山秀夫の作品を知らず、この作品を「誘拐事件とそれを捜査する刑事たちの物語」と思って視聴しようとした者にとっては、思惑と違った作品かもしれない。
横山秀夫作品を知れば納得なのだが、横山作品は単に事件と刑事を扱ったものではなく、警察内部の確執を描くことに秀でている。
最近では警察署内部のことを描く作家が増えたが、当時の横山秀夫の作品はある種「斬新」であった。
今作品もまさしくそうで、ただの誘拐事件ではなく、その間に広報官と記者クラブの対立、刑事部と警務部の確執がある。
これを決して「無駄」と思ってはならない。むしろ横山作品の軸は、先に触れたところにあるのだ。
ロクヨンも同じく。事件を描いているが、事件の背景にある警察官たち、記者たちの姿を主体として描くことで、物語に厚みを持たせている。
とはいうものの、エンタメ性を求められる映画では、この世界は非常に描きづらい。ともすれば「地味」になってしまう。
それを上手に映像化して見せている。すばらしい。

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